研究課題/領域番号 |
20K07608
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲垣 善則 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40733390)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 脈管腫瘍栓 / 長鎖非コードRNA / 浸潤 / 上皮間葉転換 |
研究開始時の研究の概要 |
肝細胞癌(HCC)の脈管での腫瘍栓形成は、患者の予後を大きく悪化させる重要な現象であるが、その詳細な分子機構は未だ不明である。本研究では、腫瘍栓組織で発現変動がみとめられた長鎖非コードRNAに着目し、その長鎖非コードRNAによる制御を基盤としたHCCの脈管腫瘍栓形成の分子機構の解明を目指す。研究項目は、(1)同一症例に由来する原発巣組織及び腫瘍栓組織を用いた転写産物の網羅的解析、(2)病態の異なる症例間における長鎖非コードRNAの発現性の検討、(3)モデル実験系を用いた基礎医学的解析による長鎖非コードRNAの機能的役割の解明に大きく分けて本研究を遂行する。
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研究成果の概要 |
本研究は、肝細胞癌の主腫瘍組織と腫瘍栓組織の網羅的遺伝子発現解析に基づき、脈管腫瘍栓形成における長鎖非コードRNAの役割の解明を目的として実施した。同一の肝細胞癌患者に由来する主腫瘍組織と腫瘍栓組織における遺伝子発現を比較した結果、細胞の接着や移動に関する因子の発現変動と共に、複数種の長鎖非コードRNAの発現変動をみとめた。腫瘍栓組織で発現上昇したCRNDE及びLINC00665の発現を低下させた肝癌細胞では、細胞の移動能が減弱し、マウスモデルにおける肝転移巣の形成数が減少した。従って、これらの長鎖非コードRNAの発現は肝細胞癌の腫瘍栓形成及び転移の誘導に関連性を有すると示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝細胞癌は現在もなお再発率が高く、脈管での腫瘍栓の形成や転移が患者予後の悪化に大きな影響を及ぼすが、その誘導に関する詳細な分子機構は不明である。外科的切除されることが希少である腫瘍栓組織を用いて網羅的遺伝子発現解析を実施した本研究の成果は、腫瘍栓と主腫瘍との間での遺伝子発現変動を比較した希少な知見として学術的に意義深い。また、長鎖非コードRNAが関与する腫瘍栓形成及び転移の分子機構の解明は、臨床的課題である肝細胞癌の再発の抑止などといった患者予後の改善に寄与する治療法の開発に有効であると期待される。
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