研究課題/領域番号 |
20K07616
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 梅花女子大学 (2022-2023) 大阪大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
山崎 大輔 梅花女子大学, 食文化学部, 准教授 (50422415)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 大腸がん / 浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸がんは異なった性質を持つ細胞から成る不均一な集団であるが、その中でどのようながん細胞が浸潤に関与しているのかは不明である。私はこれまでに大腸がんモデルマウスでMg2+輸送体CNNM4を欠損させると腫瘍が悪性化し筋層へと浸潤することを示していたが、最近その浸潤するがん細胞において腸管上皮分泌系細胞のマーカーが発現していることがわかった。分泌系細胞マーカーの発現は、加齢により悪性化した腫瘍の浸潤領域でもみられたことから、分泌系細胞の性質を獲得することが大腸がん細胞の浸潤につながった可能性がある。そこで本研究では、がん浸潤において分泌系細胞マーカーを発現するがん細胞が果たす役割の解明に取り組む。
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研究成果の概要 |
Apcはがん抑制遺伝子であり、その不活性化は大腸でのポリープ形成を引き起こす。大腸上皮におけるAPCの役割を解析するために、CRISPR/Cas9システムを利用してマウス大腸上皮細胞でApc遺伝子をKOした。Apc KO細胞を三次元培養したところ、野生型細胞と同様に球形のオルガノイドを形成したが、細胞の増殖速度が低下する一方で細胞のサイズが増加していた。また、Apc KOオルガノイド中では、大腸には存在しないリゾチーム陽性の細胞が異所的に出現した。これらの結果は、大腸上皮細胞の細胞分化における新たなAPCの役割を示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
APCは大腸発がんの鍵となる分子であり、大腸上皮細胞でどのような役割を果たしているのかを明らかにすることは、大腸発がんの分子機序を理解する上で重要である。今回、APCには大腸上皮細胞のサイズを制御すること、そしてリゾチームを発現する細胞への分化を妨げるという新たな役割があることがわかった。 がん浸潤メカニズムの解明は重要な課題だか、Apcヘテロ欠損マウスの解析から、ポリープが浸潤性を獲得する過程でリゾチーム陽性細胞の数が増えること、そしてその細胞は浸潤性をもつことがわかった。この結果は、「特定方向へとがん細胞が分化することで浸潤性を獲得する」という新たな浸潤性獲得機能の存在を示唆している。
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