研究課題/領域番号 |
20K07648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
渡辺 茂樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 主幹研究員 (10450305)
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研究分担者 |
山田 圭一 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70323334)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アスタチン-211 / 陰イオン交換法 / 湿式分離 / ホウ素―アスタチン交換反応 / 標的アイソトープ治療 / 放射性ハロゲン / アスタチン / ケイ素-ハロゲン交換反応 / 放射性薬剤 |
研究開始時の研究の概要 |
α線内用療法での利用が期待されているアスタチン-211(At-211)の薬剤化工程において、人体や薬剤活性に悪影響を及ぼす毒劇物や酸化剤の使用と、それらの除去のために必要な精製過程での収率ロスが、実用化に向けた課題となっている。そこで、本研究では「毒劇物と酸化剤を使用しない安全で簡便なAt-211標識法」の開発を目的として、At-211の化学種をコントロールできる湿式法と低毒性のケイ素前駆体を用いるケイ素-アスタチン交換反応を組み合わせた新規標識法の可能性と問題点を明らかにする。
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研究実績の概要 |
α線内用療法での利用が期待されているアスタチン-211(At-211)の薬剤化工程において、人体や薬剤活性に悪影響を及ぼす毒劇物や酸化剤の使用と、それらの除去のために必要な精製過程での収率ロスが、実用化に向けた課題となっている。そこで、本研究では「毒劇物と酸化剤を使用しない安全で簡便なAt-211標識法」の開発を目的として、At-211の化学種をコントロールできる湿式法と低毒性のケイ素前駆体を用いるケイ素-アスタチン交換反応を組み合わせた新規標識法の可能性と問題点を明らかにする。 今年度は、ケイ素と同じく毒性が低く、アスタチンとの交換反応に利用可能なボロン酸誘導体に着目してホウ素―アスタチン交換反応について検討を行った。量研高崎研のAVFサイクロトロンを用いて生成したAt-211を乾式法で分離した後、ボロン酸を含むPSMA誘導体を混合し、銅触媒非存在下でのホウ素-アスタチン交換反応によるAt-211標識について検討した。その結果、塩基を加えたAt-211溶液を用いた標識では、水酸化ナトリウム存在下では収率22.0-31.9%で目的物を得られたのに対し、炭酸カリウム存在下では収率69.0-82.3%で目的物が得られた。この結果からホウ素―アスタチン交換反応では、塩の種類によって反応性が異なる可能性が示唆された。これらの結果について論文として発表した。また、HPLCを用いて化学形分析を行い、反応に関与することが考えられる化学形を検出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関の方針により放射線管理区域の稼働停止期間が長くなった、その影響によるサイクロトロンの運転時間の大幅な減少と、当初予定していたAt211の製造が実施できなかった。また、本来標識反応が効率よく進行するはずの「酸化剤存在下での反応」が、中和したAt-211溶液では進行せず想定外の結果となった。これらのことから、研究は当初の予定よりも遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、前年度に引続き化学形に関するデータを取得する。また、ホウ素―アスタチン交換反応について酸化剤非存在下での検討を行う。また、昨年度実施予定であったケイ素自身の反応活性を向上させるため、フッ素化合物などを加えたケイ素-アスタチン交換反応を行い、At-211標識の可能性と問題点について、さらに明らかにする予定である。
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