研究課題/領域番号 |
20K07680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
山田 武司 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (40333554)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 抗腫瘍免疫 / CD8 T細胞 / エピジェネティック / CD8 / エピジェネティック調節 / 抗腫瘍活性 / T細胞 / エピジェネティック制御 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性腫瘍に対するT細胞免疫療法の開発が積極的に行われ、難治性がんの治療に向けた養子免疫療法の臨床への応用が進んでいる。しかし、患者体外で活性化培養されるT細胞は、しばしば疲弊状態に陥り治療効果を十分発揮できないという問題がある。これまでの研究から我々は、T細胞の活性化培養で生じるグルタミン代謝の亢進が、エピジェネティック変化をひきおこし、T細胞疲弊を誘発することをすでに明らかにしている。そこで、本研究ではこの研究成果を発展させ、エピジェネティック制御によりT細胞疲弊を抑制する手法の開発をめざす。そして本研究の最終段階では、従来よりも抗腫瘍効果の高いT細胞免疫療法のプロトコール提案を目標とする。
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研究成果の概要 |
ヒストンH3K27脱メチル化酵素を阻害する薬剤GSK-J4を用いたマウスCD8 T細胞の培養実験を行ったところ、T細胞の疲弊が抑えられ、長期免疫に働くメモリー分化が促進することが明らかとなった。またさらに、この脱メチル化酵素を活性化するグルタミン代謝経路の阻害剤BPTESでも同様の効果が得られる事を明らかにした。これらの成果を元に、実際に抗腫瘍効果が上がるかについて、担がんマウスを用いて調べた結果、GSK-J4あるいはBPTESを添加培養したCD8 T細胞を移入したグループでは、コントロール培養したCD8 T細胞を移入したグループに比べて、腫瘍増殖が効率よく抑制されることを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
長期免疫の獲得に重要な記憶(メモリー)T細胞分化の誘導は、難治性がん克服のための重要な研究課題と考えられる。実用的なワクチンや免疫療法の開発を行う上で、T細胞分化メカニズムの理解は不可欠であるが、その分化を制御するエピジェネティック調節機構については、まだ明らかとなっていない。そこで本研究は、CD8 T細胞におけるヒストン脱メチル化酵素の役割に焦点を当てた解析を行い、エピジェネティック変化によるメモリーCD8 T細胞分化の制御メカニズムの一部を明らかにした。これらの成果は、エピジェネティック調節をすることで人為的にT細胞分化制御を行い、腫瘍に対する長期免疫を誘導できることが期待できる。
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