研究課題
基盤研究(C)
CRISPR-guide RNA libraryによる網羅的遺伝子ノックアウトと次世代シーケンサーを活用し、「癌の免疫逃避に耐性で品質が低下しない特性をT細胞に付与できる標的遺伝子」および「癌の免疫原性を高める標的遺伝子」を網羅的に探索・同定する。さらに、得られた成果を腫瘍局所で認められる「癌-免疫逃避相」を克服する革新的な癌免疫療法の開発に発展させることを目的として本研究課題を遂行する。
CD27発現低下条件における培養で、CD27高発現を維持するCD8T細胞においてノックアウトされている遺伝子X(仮名)をCRISPR-guide RNA library/Cas9 systemを用いた網羅的スクリーニングにより同定した。遺伝子X発現抑制は、CD8T細胞のCD27発現維持に加え、増殖能亢進に寄与するだけでなく、抗原特異的サイトカイン産生および細胞傷害活性維持にも寄与することが分かった。増殖能亢進のメカニズムを明らかにするために、コントロールCD8T細胞と遺伝子X発現抑制CD8T細胞におけるATAC-seqとRNA-seqを行なった。現在、これら結果について詳細な解析を行っている。
免疫チェックポイント阻害療法やCAR-T細胞療法は、強力な抗腫瘍効果が期待できる癌免疫療法である。しかしながら、腫瘍攻撃の中核を担う細胞傷害性T細胞の「品質」の低下が原因で、治療を受けた患者のすべてに強い抗腫瘍効果が発揮されるわけではない。強い細胞傷害活性と高い増殖能は、T細胞に本来備わっている性質としては同時に成立しない。そこで、本研究成果で得られた「細胞傷害活性の維持と驚異的な増殖能を発揮する癌抗原特異的T細胞」は、現在の癌免疫療法が直面する最大の課題を解決することが大いに期待される。
すべて 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
J Immunother.
巻: 45 号: 1 ページ: 55-66
10.1097/cji.0000000000000405
Cancer Immunol Immunother.
巻: 70 号: 1 ページ: 253-263
10.1007/s00262-020-02675-9
Biomedical Reports
巻: 12 ページ: 244-250
10.3892/br.2020.1289