研究課題/領域番号 |
20K07747
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
萩原 裕子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90468207)
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研究分担者 |
舩橋 利也 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70229102)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 疼痛 / 分界条床核 / 性差 / ホルマリンテスト / CRH / AAV / オプトジェネティクス / TRECK法 / 分界条床核外側部 / venus / オプトジェネティクス(光遺伝学) / 疼痛学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、分界条床核背外側部(dlBST)のCRHニューロンが痛み行動の性差発現にどのような役割を演じているか、を検討することにある。そのために、遺伝子改変動物をウィルスベクターを組み合わせて利用し、オプトジェネティクス(光遺伝学的手法)やTRECKの変法などの神経細胞に選択的な活動操作技術を用いる。性差発現は、ホルマリンによる痛み反応の場合、中間相という限定した時間にのみ顕著なため、光遺伝学的手法という時間分解能に優れた方法が主となる。将来的には、痛み行動の神経基盤と情動行動の関係に分界条床核がどのような役割を担っているかを明らかにし、女性特有の痛みのメカニズムを解明することが目標となる。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で、痛み刺激としてホルマリンテストを行い、一度痛みが抑制される時期に性差が認められること、その時期に分界条床核外側部で雌性特異的にCREBのリン酸化が起こることを明らかにした。また、同部位はCorticotropin-releaseing hormone(CRH)ニューロンが局在している特異的な場所でもある。 本研究の目的は、分界条床核外側部のCRHニューロンが、痛み行動の性差発現にどのような役割を演じているか、を検討することにあり、遺伝子改変動物とウィルスベクターを組み合わせて利用し、オプトジェネティクスやTRECKの変法などの神経細胞に選択的な操作技術を用いる。性差発現は、ホルマリンテストによる痛み反応の場合、中間相という限定した時間にのみ顕著なため、オプトジェネティクスなどの時間分解能に優れた方法が有効となる。 本研究ではCRH-Creラット(RRRC#00852)を使用し、分界条床核外側部におけるCRHニューロンを選択的に操作することにより、ホルマリンテスト行動への変容について検討した。 ラットの分界条床核外側部に脳定位固定装置を用いて、AAV-EF1a-DIO- hChR2(C128s/D156A)-EYFP 、AAV-EF1a-DIO-eNpHR3.0-EYFP を投与し、同時に、光ファイバーの先端を固定した。手術1ヶ月後、ホルマリンテストを行い、光ファイバーの先端から特定波長の光を照射しCRHニューロンを興奮、もしくは抑制させ、行動の変化を観察する予定であった。しかし、使用したウィルスの発光力が弱く感染した細胞がCRHニューロンであるかどうかの同定が難しくなった。そのため、使用するウィルスを再検討する必要があり時間を要し2022年度が終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、CRH-Creラット(RRRC#00852)を用いて、分界条床核外側部(dlBST)におけるCRHニューロンを選択的に操作することによるホルマリンテストでの痛み行動の変容について検討する。そのためには、CRH-Creラット(RRRC#00852)の存在が必須となるが、新型コロナウィルスの影響によりラットの輸入が半年以上遅れた。搬入後は順調に繁殖を続けており、実験をスタートしている。 ラットの分界条床核に脳定位固定装置を用いて、(1)AAV-EF1a-DIO- hChR2(C128s/D156A)-EYFP (AAV9) (addgene,#35503) 、もしくは、(2)AAV-EF1a-DIO-eNpHR3.0-EYFP (AAV9) (addgene,#26966) を投与し、同時に、dlBSTに光ファイバーの先端を固定した。脳手術1ヶ月後、ホルマリンテストを行い、光ファイバーの先端か ら特定波長の光を照射しCRHニューロンを興奮、もしくは抑制させ、行動の変化を観察する予定であった。しかし、光ファイバーを脱落などが発生しその対応に時間を要した(解決済み)。 また、予定していたウィルス投与を投与し、感染している細胞の同定をISH法を用いて確認したが、EYFPの発光力がが少ないことから、その同定に時間を要し、使用するウィルスを変更することにした。それにより、実験に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)AAV-EF1a-DIO- hChR2(C128s/D156A)-EYFP (AAV9) (addgene,#35503) 、(2)AAV-EF1a-DIO-eNpHR3.0-EYFP (AAV9) (addgene,#26966) 投与により感染している細胞の同定のために、ISH法を用いて確認したが、細胞には感染しているものの、EYFPの発光量が少ないことから実験の進捗に遅れが出ている。今回ウィルスを再検討し、dlBSTにおけるCRHニューロンにより感染力の強いセロタイプを同定した上でウィルスを新規導入した。ラットの分界条床核に脳定位固定装置を用いてウィルスを投与し、同時に、dlBSTに光ファイバーの先端を固定する技術に問題はないため、今回適切なウィルスが決定したことにより、実験は問題なく進むものと考える。 雌雄のラットを用いた実験が進めば、次には性腺を摘出した雌雄のCRH-Creラットにエストロジェンとしてエストラジオル (E2) もしくは、テストステロン(Test) を補充したCRH-Creラットを用いて、同様の実験を行う。 さらに、雌雄のCRH-Creラット、もしくは、性腺摘除後にE2 または、Test を補充したCRH-Cre ラットを用いて、dlBST のCRH ニューロンにAAV9-mCherry-Flex.dtA (Virus Vector Core, #4196) を投与し、Toxin Receptor-mediated Cell Knockout (TRECK 法)を応用して、痛み行動と性差の関係を調べる。
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