研究課題/領域番号 |
20K07755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
笠原 諭 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (30773056)
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研究分担者 |
高橋 香央里 東京歯科大学, 歯学部, 臨床講師 (70848647)
福田 謙一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80228907)
石氏 陽三 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20366199)
高橋 美和子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主幹研究員(任常) (00529183)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60401064)
松平 浩 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (10302697)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 痛覚変調性疼痛 / ADHD / 舌痛症 / アトピー性皮膚炎 / 脳血流SPECT / 自閉症スペクトラム障害 / 痒み / 発達障害 / 身体表現性障害 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、難治性慢性疼痛患者の72.5%に注意欠如多動性障害(ADHD)が併存しており、これらの疼痛はADHD治療薬によって大きく改善することを見出した。また近年、海外の先行研究ではアトピー性皮膚炎にもADHDが多く併存することが示されており、ADHD治療薬は難治性の痒みも改善させる可能性が考えられた。 本研究では、この知見を舌痛症やアトピー性皮膚炎などの痛み・痒みの領域へ臨床応用することを目的として、舌痛症とアトピー性皮膚炎の患者にADHDが併存する割合を調査し、ADHD治療薬の両疾患への治療効果の検証を脳機能画像検査も含めて行い、ADHD治療薬を用いた治療アルゴリズムの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
1)20年来の慢性腰痛と口腔内異常感症(舌痛症)と脳血流異常を、ADHD治療薬のアトモキセチンとプラミペキソールの組合せが劇的に寛解させたケースレポートが、国際誌Frontiers in Pain Researchに掲載された。 2)7年間持続した難治性の持続性特発性顔面痛を、ADHD治療薬のメチルフェニデートとアリピプラゾールの組合せが劇的に寛解させたケースレポートが、国際誌Clinical Case Reportsに掲載された。 3) 深刻なPTSD後の慢性難治性の顔面痛と脳血流異常を、ADHD治療薬のアトモキセチンが大きく改善した症例のケースレポートが、国際誌Frontiers in Psychiatryに掲載された。 4)常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)による難治性慢性腰痛と脳血流異常を、ADHD治療薬のグアンファシンとメチルフェニデートの組合せが劇的に寛解させた症例のケースレポートが、国際誌Frontiers in Pediatricsに掲載された。 5)これらの研究成果から得られた臨床的知見と、近年の基礎研究の結果を統合して、『臨床麻酔』誌に総説「ADHDが慢性疼痛を引き起こす中枢性感作のメカニズム-基礎と臨床の知見から-」を発表した。この総説では、ADHDと舌痛症などの痛覚変調性疼痛が高率に併存するメカニズムについて、現時点の知見からの病態仮説を提唱した。 上記のケースレポートでも報告したADHD治療薬による慢性疼痛と脳血流の改善について、更に65名の脳血流SPECT複数回実施症例の解析を終え、現在投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたアトピー性皮膚炎に関するインターネット調査の実施が、コロナウイルス感染症を受けてのマスク着用の痒みへの影響をなるべく排するために、延期となっていたため。令和6年度に実施する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
1)令和6年度にアトピー性皮膚炎に関するインターネット調査を実施する。 2)ADHD治療薬で痛みに改善が見られ脳血流SPECTを複数回実施した65症例の画像解析結果について学会発表を行い、国際誌に論文発表し、その脳内機序について明らかにする。
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