研究課題/領域番号 |
20K07767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
那須 輝顕 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (30584180)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | リドカイン / 繰り返し寒冷ストレス / アデノシン / ATP / パネキシン1 / TRPV1 / 線維筋痛症 / ストレス / ASIC3 / 甲状腺ホルモン / 筋性疼痛 / ノイロトロピン / アデノシン受容体 / 慢性筋痛 / 筋肉注射 / 薬物筋注 |
研究開始時の研究の概要 |
運動器疼痛の治療の一つである薬物筋注による鎮痛機構の正確な機序は未解明であり、想定外の作用も観察されている。そこで申請者は、慢性疼痛の治療で使われるノイロトロピンとリドカイン(局所麻酔薬)について、筋注による鎮痛のメカニズムの解明を目的とし、本研究を実施する。具体的には、申請者が提唱している「薬物筋注で末梢からの求心性入力を引き起こし、内因性鎮痛系(痛み入力のブレーキ)を活性化させることで鎮痛効果を得る」という仮説を検証するため、筋組織でのATP放出とそのメカニズム、末梢のアデノシン受容体ないしプリン受容体の関与、これらを介した内因性鎮痛系の活性化の有無を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、①局所麻酔薬リドカイン(Lido)による鎮痛に、ATP放出チャネルである パネキシン1とアデノシン受容体(AR)が関与するかどうか、②Lidoの筋肉注射によりATP放出が起こるかどうか、③線維筋痛症モデル動物である繰り返し寒冷ストレス(RCS)ラットの末梢AR、TRPV1の発現変化を調べることを目的とした。その結果、①Lidoによる鎮痛にパネキシン1とA1受容体が関与すること、②Lido筋注はATP放出を起こした。健常動物とRCS動物のATP放出量に有意な違いはなかった。また③健常動物とRCS動物の脊髄後根神経節細胞におけるA1受容体、TRPV1のmRNA発現量に有意な差は無かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究における主な研究成果は、リドカイン筋注による鎮痛に①パネキシン1を介したATP放出、②末梢アデノシン受容体とTRPV1を介していることを明らかにしたことである。この成果により、長い間信じられてきた局所麻酔薬による鎮痛機構の仮説である「神経ブロックにより痛みの入力が阻害されるためである」では説明できなかった事象を説明することができる。また末梢TRPV1活性化によりATP放出とアデノシン受容体活性化を引き起こす事を示唆する結果を得た。これにより鍼や温熱刺激のような痛み刺激による鎮痛(広汎性侵害抑制調節)のメカニズム解明とそれらの有効な治療プロトコル確立に本研究成果が寄与できると考えられる。
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