研究課題/領域番号 |
20K07784
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松井 尚子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10547954)
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研究期間 (年度) |
2022-01-04 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 重症筋無力症 / 胸腺 / 治療抵抗性 / バイオマーカー / 胸腺上皮細胞 / B細胞 / プラズマブラスト / 濾胞性ヘルパーT細胞 / 難治例 |
研究開始時の研究の概要 |
重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)は発症年齢や胸腺病変の合併からみた病型により治療戦略を立てることが多いが、最適な医療を提供するには、個々の特性を予測するバイオマーカーが希求されている。私たちは、ヒト胸腺の免疫組織染色やフローサイトメトリーによる方法論を確立するとともに、MG胸腺における病態解明を進めてきた。本研究では、これまでの研究手法をさらに発展させ、胸腺上皮細胞のRNAシークエンス解析の精度を改良し、MGの治療反応性を規定する因子を明らかにしたい。さらに抗体産生に関わる免疫細胞の解析を行い、MGの病態解明のみならず、難治例に対する新たな治療へと発展させたい。
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研究実績の概要 |
重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)の個別化医療に役立つバイオマーカーの探索を進めている。 まず、ヒト胸腺上皮細胞については、新生児を含む小児の胸腺上皮細胞を単離し、RNAシークエンス解析による網羅的遺伝子発現の解析を行った。クラスター解析により、髄質上皮細胞(mTEC)と皮質上皮細胞(cTEC)の単離が概ね成功していることを確認している。 また、末梢血単核球と胸腺細胞を用いた解析では、1) MGの患者末梢血では、健常者と比べ、B細胞サブセットが全体的に高く、特にプラズマブラストは全身型MGで高い傾向を示した 2) MG患者の胸腺では、コントロールの胸腺と比べ、メモリーB細胞とプラズマブラストが有意に高く、さらにプラズマブラストは重症度と相関がみられた 3) MG胸腺の濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)は免疫治療によって、発現が減少しており、過形成胸腺の胚中心形成に抑制的に働いている可能性が示唆された。これら1-3)の結果について、誌上発表を行った(Yamamoto Y, et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2021)。この先行研究においては、ステロイドなどの免疫治療後も、胸腺中では、メモリーB細胞やプラズマブラストの減少が乏しい結果が得られている。そこで、治療反応性のMG患者12名と治療抵抗性のMG患者8名の末梢血を用い、B細胞サブセットの解析を行い、プラズマブラストが治療の指標をなり得るか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コントロールの胸腺上皮細胞を用いたRNAシークエンス解析は終了できているが、胸腺腫非合併MG患者の胸腺摘出例が近年少なく、胸腺のサンプリングが十分に行えていない。 また、治療反応性のMG患者12名と治療抵抗性のMG患者8名の末梢血のサンプリングを終えたが、B細胞サブセットの解析がまだ終了していないこともあり、全体的に進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
治療反応性のMG患者と治療抵抗性のMG患者の末梢血を用い、B細胞サブセットの解析を行う。MG患者の重症度や治療後経過と関連のある、B細胞の分画を明らかにする。また、MG患者の治療前後の末梢血を用い、治療前に異常の見られたB細胞分画が治療後どのように変化しているのかも検討する。 細胞単離を行えるMG胸腺の例数が少ないこともあり、これまでの胸腺摘出術を受けた患者のパラフィン標本胸腺を用い、胸腺が治療抵抗性の温床となっていないか、免疫染色による検討を予定している。
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