研究課題/領域番号 |
20K07795
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
礒濱 洋一郎 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (10240920)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アクアポリン / 五苓散 / 炎症 / 止瀉作用 / 細胞内局在 / 漢方薬 / 脳内炎症 / 細胞膜移行 / 清肺湯 / 気管支喘息 / 感染性胃腸炎 |
研究開始時の研究の概要 |
漢方薬の薬理作用の一部が,水チャネルとして知られるアクアポリン(AQP)の機能および発現と密接な関係にあることが,これまでの成績から明らかになってきた.AQPは,種々の疾患を治療するための標的分子として注目されているが,未だ西洋医学的な分子標的薬は開発されていない.そこで,漢方薬によるAQP調節作用を基軸とした種々の疾患の薬理学的治療概念の構築を目指す.具体的には,1)気道炎症におけるAQP5,2)感染性の下痢症状におけるAQP3,および3)マクロファージ泡沫化におけるAQP9の関与を明確にしつつ,これらの病態に対する漢方薬の作用とAQP類機能調節作用の関係を解明する.
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研究成果の概要 |
水チャネルのアクアポリン(AQP)類は一部の漢方薬の標的分子であることが示唆されている.本研究ではAQPの機能・発現の調節とそれらに対する漢方薬の作用を調べた.まず,肺上皮型のAQP5は自然免疫系サイトカインに対する応答を亢進する一方で,Th2サイトカイン応答を抑制することを見出した.またAQP5の細胞内での膜移行には本タンパク質のC末端領域およびezrinとの相互作用の重要性を示した.さらに,漢方薬の作用についても,五苓散が消化管型のAQP3発現を促進することで止瀉作用を示す一方で,脳型のAQP4による炎症応答亢進機能を抑制することで脳選択的な抗炎症作用を示すことを示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
水チャネルのアクアポリン(AQP)類は,従来,外分泌機能や利尿など,体内の水分代謝の調節のための標的としての重要性が知られていた.しかし,本研究によって炎症応答など,水の移動とは無関係に生じる反応を調節し得ること,さらにその調節はAQPのアイソフォームによって異なることが判明した.さらに,五苓散をはじめとする漢方薬は,このAQP類による新機能を抑制することで,水分代謝調節と同時に抗炎症など,多彩な薬理作用を発揮し得ることが示唆された.本研究の成果は創薬標的としてのAQP類の新たな価値を示すとともに,これを利用した漢方薬の有用性を示すものである.
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