研究課題/領域番号 |
20K07815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
川口 辰哉 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (50244116)
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研究分担者 |
野坂 生郷 熊本大学, 病院, 教授 (90398199)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / ワンヘルス / 感染制御 / 地域ネットワーク / MRSA / カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 / 分子疫学解析 / 地域 |
研究開始時の研究の概要 |
熊本県感染管理ネットワークによる耐性菌サーベイランスでは、MRSA分離率が改善せず、薬剤耐性腸内細菌科細菌の検出頻度が増加傾向にあるなど、新たな地域の問題点が明らかとなった。本研究では、その原因を究明するために、ワンヘルスアプローチによる分子疫学解析を計画した。まず本ネットワーク参加施設から臨床分離株を収集し、SCCmec やβラクタマーゼなど耐性遺伝子のタイピングを実施する。さらに食肉衛生検査所協力のもと、家畜から耐性菌を分離し同様の遺伝子解析を行い、ヒトと比較検討することで耐性菌拡大への家畜の関与の有無を明らかにする。得られた成果は、地域の薬剤耐性対策に寄与することが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究は、熊本県感染管理ネットワークの協力を得て、地域における薬剤耐性菌の分子疫学的特徴をワンヘルスアプローチにより明らかにすることを目的とした。まずMRSAは、市中感染型が増加傾向であり、その背景に特定遺伝子株(POT1値106型)の感染拡大の可能性があることが判明した。一方、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は低分離率(1%未満)のまま推移したが、その約1/4はカルバペネマーゼを有していた。一方、家禽からはESBL産生大腸菌(主にCTX-M型)が約40%程度検出され、その検出率は養鶏場間で差があることが判明した。今後はヒト由来株との関連を明らかにする予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗微生物薬耐性(antimicrobial resistance :AMR)は依然として公衆衛生上の脅威であり、本邦のAMRアクションプランでは地域での感染対策への取り組みが求められている。本研究は、県下の主要施設が参加する地域の感染ネットワークが独自に構築した微生物サーベーランスシステムを駆使しており、その分析に加え分子疫学解析を試みることで、より詳細な地域における耐性菌動向を明らかにすることができた。さらに家禽におけるESBL産生大腸菌の浸淫状況も明らかとなった。これらの成果は、地域レベルでのワンヘルスアプローチよるAMR対策の具体化に有益な情報をもたらすものと期待できる。
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