研究課題
基盤研究(C)
マクロファージの組織の修復機転、特に死細胞を貪食処理するエフェロサイトーシスに自然免疫の環境がどのような意義を持つのか、マクロファージの他、修復機構に重要な働きをすると考えられる、傷害部位の組織構成細胞や自然リンパ球がどのように協働しているかを解明する。本研究により解明される有効な修復機構を誘導することで、組織傷害に対してより完全な修復・治癒機転の招来をもたらす。
本研究では、2型免疫応答におけるエフェロサイトーシスの関与について検討した。2型優位の免疫応答を示すNC/Ngaマウスでは、BALB/cマウスと比較して骨髄由来マクロファージにおけるラテックスビーズの貪食能およびアポトーシス細胞のエフェロサイトーシス能が低下していた。また、アポトーシス細胞の気管内投与により生体でのエフェロサイトーシス能を評価したところ、定常時および炎症誘発時のどちらにおいてもNC/Ngaマウスは有意に減弱していた。以上の結果より、エフェロサイトーシスの障害が2型免疫応答を促進させる可能性が示された。
組織修復には多くの組織の傷害に共通な機構と、肺や肝臓など、その組織に特異的な機構が必要となる。マクロファージは自然免疫応答の基軸となる細胞で、修復機転の最初の段階においてエフェロサイトーシスと呼ばれる死細胞を含む異物処理を行う。本研究により修復機構で活躍するマクロファージの機能や修復機転の効果的な発動機構、さらには自然免疫に関わるその他の細胞との関連が明らかになり、統合的に理解することができれば、多くの組織の傷害に共通な修復機構を効果的に誘導することが可能となる。また、現行の治療法に補完的に組み合わせることにより、より効果的な治療成績が期待できる。
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