研究課題/領域番号 |
20K07839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) (2023) 兵庫医科大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
太田 好紀 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (10516404)
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研究分担者 |
森本 剛 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30378640)
作間 未織 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (60349587)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 臨床疫学研究 / 医療の質 / 医原性有害事象 / 高齢者 / 医療・福祉 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者を対象とした周術期を含む入院診療中の医原性有害事象並びにエラーを網羅的に評価した臨床疫学研究は、世界的にも類を見ない。高齢者は多種類の薬剤投与に加えて、全身臓器の機能低下の併存が認められ、医原性有害事象を発症しやすいという背景がある。高齢者の医療需要が高まる中、医療の質の向上のためには、周術期を含めた医原性有害事象並びにエラーの分析、検討が不可欠である。本研究では、本邦の高齢者の医原性有害事象並びにエラーの現状、これらが転帰に及ぼす影響を明らかにする。これにより、本邦の高齢者診療における治療成績向上や、健康寿命の延長並びに安全対策の推進に貢献する。
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研究実績の概要 |
高齢者に発生する医原性有害事象は、死亡や重症度の高い健康被害に至ることが少なくない。さらに中等度もしくは軽微な健康被害であっても、結果としてフレイル状態から要介護状態へ陥るおそれがある。高齢者を対象とした医原性有害事象並びにエラーに関する質の高い臨床疫学研究は、世界的に見渡してもないのが現状である。本研究は、研究期間中に対象施設に入院した全患者のカルテ、手術記録、インシデントレポートなどを継続的かつ網羅的に調査し、確立された方法論を用いて、我が国の高齢者の医原性有害事象並びにエラーの現状を明らかにし、必要なエビデンスを構築し、効果的な対策を提示することを目的とする。 令和5年度は、65歳以上の高齢者を対象に多施設前向きコホート研究を実施し、データベースの構築並びに解析を行った。対象患者は704人、医原性有害事象は831件発生し、医原性有害事象の原因として薬剤344件(41%)、手術132件(16%)、手術以外の検査・手技149件(18%)、看護126件(15%)、その他80件(10%)であった。重症度は死に至るもの8件(1%)、致死的なもの28件(3%)、治療介入を要するもの320件(39%)、それ以外の軽度なもの475件(57%)であった。自宅退院となった患者数443人のうち医原性有害事象を発生した患者は168人でその割合は38%、自宅外退院となった患者261人のうち医原性有害事象を発生した患者は150人でその割合は57%で有意に少なかった(P<.0001)。医原性有害事象が生じた高齢者は自宅退院できる割合が減少することを示した。これまでにデータベースを用いて高齢者に対する医原性有害事象を詳細に分析及び評価してきた。令和5年度より予防および症状緩和につながる方策の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により一時的に本邦における医療需要が増大したため、本研究に対して利用すべきエフォートの一部をやむを得ず臨床に割く必要が生じたことにより科研事業の遅れが発生した。 さらに全世界的なコロナ禍の影響から、世界情勢の見通しが立たなくなり、国内外における学会の開催が中止又は延期となるなどの事態に至ったことも影響した。 これまでに、研究計画に従って65歳以上の患者のカルテ、手術記録、インシデントレポートなどを継続的かつ網羅的に調査し、上記方法論に基づいて作成されたトレーニングマニュアルを用いて、事前に十分に訓練されたレビューワーにより患者背景並びに医原性有害事象やエラーの潜在的事象を全て抽出し、データを作成した。このデータ全てについて独立した医師がレビューを行い、医原性有害事象を同定し、データベースを作成した。 さらに、作成されたデータベースを用いて、ロジカルチェックによりデータ固定を行い、研究概要に示す結果を得た。 本研究課題の進捗状況はやや遅れているが、研究計画通り国際論文に投稿するために国内及び国際学会での議論を基に、論文化に必要とされるデータの追加収集を行い、解析結果をまとめていく。高齢者に発生する医原性有害事象の実態、さらに医原性有害事象の要因並びに医原性有害事象が及ぼす影響などを多面的に検討し、高齢者の予後改善に寄与する論文を作成する。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究と同様に本研究においても質の高いデータベースを作成するためにはデータ収集及び、入力に多大な時間と労力を要した。当初の計画通り、これらの作業に要する時間及び労力が多大であり、研究補助員を増員することで対応してきた。データベースの作成並びにデータ固定は終了しており、国内外における学会で議論を行った。令和6年度はその内容を踏まえて、必要に応じてデータの追加収集及び解析を行ったのち、得られた結果を論文にまとめ発表を行う。
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