研究課題/領域番号 |
20K07875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
原 誠 日本大学, 医学部, 准教授 (10817224)
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研究分担者 |
中嶋 秀人 日本大学, 医学部, 教授 (20330095)
大日方 大亮 日本大学, 医学部, 准教授 (20624886)
藤原 恭子 日本大学, 歯学部, 准教授 (40595708)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 神経細胞表面抗体 / RNAシークエンス / パスウェイ解析 / 培養海馬神経細胞 / 抗体作用 / 初代培養神経細胞 / qPT PCR / 免疫染色 / 抗体精製 / 自己免疫性脳炎 / マイクロアレイ / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
自己免疫性脳炎は治療の遅れが重症化につながる疾患群であり、発症や進行には神経細胞膜表面の蛋白を標的とする自己抗体が重要な役割を担っています。しかし、それぞれの抗体が引き起こす神経細胞障害のメカニズムは不明です。私たちはラット脳を用いて脳炎患者の血清・脳脊髄液から自己抗体群を迅速に抽出/精製する手法を確立し、それらの抗体群が細胞表面標的蛋白の発現を低下させることを見いだしました。本研究では、自己免疫性脳炎患者から抽出した精製抗体と培養神経細胞を用いて、抗体が標的とする細胞応答経路を同定するために発現遺伝子を網羅的に解析し、標的遺伝子を制御する化合物を作製して日本発の革新的創薬を目指します。
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研究成果の概要 |
全国の医療機関との共同研究により原因の特定されない脳炎患者の髄液から新規にNMDA受容体抗体26例、LGI抗体9例、GABAB受容体抗体8例、CASPR2抗体3例、AMPA受容体抗体2例を確定診断した。NMDA受容体抗体、LGI1抗体、GABAB受容体抗体がそれぞれ陽性の患者血清からIgGを精製したのち、培養神経細胞を用いて抗体群の作用を検討した結果、NMDAR受容体抗体IgG分画は細胞のG蛋白共役型受容体シグナル経路で中心的な役割を担うmGluR8を標的として、RNA発現、さらに細胞膜での発現に影響することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗神経細胞表面抗体群が神経細胞表面の抗原に結合することで引き起こされる細胞内経路への影響については一切検討されていなかった。本研究により、自己免疫性脳炎で最も頻度の多い抗NMDA受容体脳炎において、NMDA受容体抗体が細胞内シグナル伝達経路へもたらす影響及び、そのパスウェイで中心的役割を担う膜受容体の発現低下が確認された。抗体により影響される細胞内シグナル経路が特定されたことで、今後、細胞内シグナル経路を標的にした病態に選択性の高い創薬へとつながる可能性がある。
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