研究課題
基盤研究(C)
持続的なしびれや疼痛など、他覚的評価が困難な自覚的慢性疼痛の病態を明らかにし適切な治療法を見出すことは、疾患や研究手法を問わず永年の課題となっているものの、未だ解決に至っていない。本研究では、慢性疼痛としての自覚的感覚障害を生じている脳機能状態と機能異常を非侵襲的に検出することを目的とする。本研究ではMEGとEEGでの検出を比較検証することにより、一般臨床での脳活動からの感覚障害評価手法も開発呈示する。本研究成果は、自覚的症状の定量的客観診断手法となるとともに、慢性感覚障害の病態を明らかにすることで治療に関する情報を提供するものと期待される。
2022年度までに慢性疼痛患者として複合性局所疼痛症候群 (CRPS)患者の安静時脳磁図44計測,健常者年齢対照群50例の計測を終えている.2021年には研究成果は国際学術雑誌に掲載された.Iwatsuki K, Hoshiyama M, Yoshida A, Uemura JI, Hoshino A, Morikawa I, Nakagawa Y, Hirata H. Chronic pain-related cortical neural activity in patients with complex regional pain syndrome. IBRO Neurosci Rep. 2021;10:208.(査読あり)2022年度はCOVID-19の感染拡大の影響でヒトを対象とした測定が滞り,期間延長の申請手続きを行った.2022年度の実際の計測数が滞った期間に,理論的な解析を進め,安静時脳磁図の新たな解析法として興奮・抑制比を算出し,CRPS 患者の特徴的な脳活動を抽出することを得ている.CRPS 患者および対照群の脳活動計測からα周波数帯域の包絡線の解析から興奮・抑制の活動が脳領域で異なることを見出し,CRPS 患者に応用することで,CRPS に特徴的反応領域を抽出する段階に到達している.最終年度の2023年度には2022年度に予定していた解析と成果報告を予定しており,概ね順調な経過としての進捗を得ている.2023年度には,これらの研究成果をまとめ論文投稿を予定している.本研究計画では,慢性疼痛を有する患者からのバイオマーカーとしての脳活動特性を抽出することが第一の目的であり,2022年度末までに目標は概ね達成された.解析の信頼性や精度を高める工夫を2023年度に実施する予定である.
2: おおむね順調に進展している
022年度までに慢性疼痛患者として複合性局所疼痛症候群 (CRPS)患者の安静時脳磁図44計測,健常者年齢対照群50例の計測を終えている.2022年度はCOVID-19の感染拡大の影響でヒトを対象とした測定が滞り,2023年度に最終年度を延長することとなったが,安静時脳磁図の新たな解析法として興奮・抑制比を算出し,CRPS 患者の特徴的な脳活動を抽出しつつある.2023年度には研究成果をまとめ論文投稿を予定している.2022年度には,上記の計測の影響の期間に,理論的な脳活動解析を行いα周波数帯域の包絡線の解析から興奮・抑制の活動が脳領域で異なることを見出し,CRPS 患者に応用することで,CRPS に特徴的反応領域を抽出する段階に到達している.最終年度の2023年度に成果報告としてつながる進捗を得ている.
続く論文作成には着手しており,最終年度(2023年度)中の掲載を目指している.また,解析手法は加齢性変化や認知症発症検出にも応用が可能であるため,新たな研究への展開への可能性を示しつつ本研究計画を完了したい.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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