研究課題
基盤研究(C)
レビー小体病(Lewy body disease: LBD)の前駆症状として最も重要なバイオマーカーは、REM 睡眠中に発声や運動異常がおこるREM 睡眠行動異常( REM sleep behavior disorder :RBD)である。しかし、LBDの病態の本質であるαシヌクレイン(α-Syn)の凝集/伝播の病理進展とRBDとの関連は不明である。本研究では、(1)線条体RBDモデルマウスを用いたREM睡眠介入による新規治療の検証 (2)より臨床像に近い嗅球RBDモデルマウスの確立 (3)嗅球RBDモデルマウスに対するREM睡眠介入治療の検証を実施することを通して、「RBDモデルマウスのREM睡眠に介入することによってα-Syn病理の進展を抑制できるか」を検証し、LBDの新規治療法の確立を目指す。
αシヌクレイン(α-Syn)凝集体(mPFFs)をマウス脳内に接種し、病理進展と睡眠表現型の関連性を検証した。SNCA A53T変異マウスの線条体にmPFFsを投与すると、1ヶ月後に大脳皮質、海馬・脳幹部の橋脚被蓋核(PPT)のコリン作動性ニューロンにリン酸化α-Synで染色されるmPFFsが伝播・蓄積し、REM睡眠の増加、REM睡眠行動異常(RBD)様表現型を示すことを明らかにした。(Okuda S., Egawa N et al. IJMS 2022)次に、嗅球にmPFFsを投与し、REM睡眠構造の異常とその神経回路異常を明らかにし、ウイルスベクターを用いてレム神経回路の制御を実施した。
本研究は、レビー小体病のモデルマウスを用いて、αシヌクレイン蛋白の伝播と蓄積が同疾患のレム睡眠の異常とレム睡眠の筋活動の異常を増強することを初めて明らかにした。レム睡眠の異常はレビー小体病の発症・診断時期の約10年先行することから、重要なバイオマーカーと考えられる。本研究は、レム睡眠の異常を引き起こす神経回路を明らかにし、αシヌクレインをターゲットにしたレビー小体病の早期治療介入プラットホームを提供した。今後、同定されたレム睡眠神経回路異常の制御を目指し、病態進行の予防を図る。これらの成果は、ますます増加するレビー小体病に対する新たな治療法につながると期待される。
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