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シンタキシン1欠損マウスにおける精神神経疾患症状に対するグリア細胞の役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K07926
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52030:精神神経科学関連
研究機関杏林大学

研究代表者

小藤 剛史  杏林大学, 医学部, 助教 (40365200)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードシンタキシン1 / グリア細胞 / 神経伝達物質 / 抑制性シナプス / 神経伝達 / 精神神経疾患
研究開始時の研究の概要

シンタキシン1(STX1)は神経細胞からの神経伝達物質の放出やそれらの輸送体の活性などに関わっており、STX1欠損は神経細胞でのシナプス伝達機能の異常による様々な精神神経疾患の症状を引き起こす。このシナプス伝達機能にはグリア細胞による調整機構も関与しており、STX1がグリア細胞にも発現していることが明らかになった。本研究ではSTX1遺伝子欠損マウスを用いて、シナプス形成やシナプス伝達機能の制御に対するグリア細胞のSTX1の機能を明らかにする。本研究によりグリア細胞におけるSTX1の新たな知見を得られれば、STX1欠損による精神神経疾患の発生機序を解明する一助になると考えられる。

研究実績の概要

シンタキシン1(STX1)は神経細胞における神経伝達物質の分泌やその輸送体の活性等を制御している。我々が作製したSTX1遺伝子欠損マウスはヒトの精神神経疾患を模擬できる様々な行動異常を示すが、これには神経細胞でのSTX1欠損によるシナプス伝達機能の異常が大きく関与している。一方、STX1はグリア細胞にも発現しており、マウスの行動異常にはグリア細胞でのSTX1欠損が関与している可能性がある。STX1欠損グリア細胞では神経細胞の生存に関わるBDNFの放出異常や神経伝達物質であるGABAやグリシンの取込異常が認められる。しかし、グリア細胞のSTX1が神経細胞のシナプス形成やシナプス伝達機能にどのように関わっているかは十分に検討されていない。
各遺伝子型グリア細胞(野生型(WT)、STX1B欠損)上でWT神経細胞を培養し、グリア細胞のSTX1Bが神経細胞の形態やシナプス形成に関与しているかを検討した。培養16日目以内では主要な神経突起数やシナプトフィジンの斑文数においてSTX1B欠損による影響は認められなかった。また、電気生理学的解析で検討した抑制性シナプス伝達機能にも差はなかった。しかし、20日以上の長期培養ではWT神経細胞/WTグリア細胞と比べてWT神経細胞/STX1B欠損グリア細胞の神経細胞においてmIPSCの頻度が低下していた。STX1Bヘテロ欠損神経細胞を用いて各遺伝子型グリア細胞の影響を検討したところ、同様にグリア細胞でのSTX1B欠損が抑制性シナプス機能を低下させていた。そこで、VGATの斑文数により抑制性シナプス形成を検討したところ、長期培養におけるSTX1B欠損条件下で抑制性シナプス数が減少していた。さらに、in vivo強制発現系を用いてSTX1B欠損マウスの幼若期で見られる熱性けいれんの温度感受性や薬剤誘発けいれん感受性へのグリア細胞の関与について検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に引き続き、長期培養条件下での検討を進めた。神経細胞の形態やシナプス形成に関して、顕著な差は認められなかった。また、電気生理学的解析を行い、長期培養下で各遺伝子型グリア細胞による抑制性シナプス伝達機能への差があることが明らかになった。グリア細胞でのSTX1B欠損によって抑制性シナプスの成熟が影響されていると考えられ、神経細胞への形態やシナプス形成について抑制性神経細胞と興奮性神経細胞を弁別して解析した。その結果、グリア細胞でのSTX1B欠損により抑制性シナプス数が低下することがわかった。この低下に関与する因子が何かを検討している。また、ポストシナプスマーカーでの確認や切片レベルでの解析を行っている。さらに、STX1B欠損(ヘテロおよびヌル)神経細胞を用いて形態やシナプス形成の検討および電気生理学的解析も行い、正常神経細胞と同じくグリア細胞でのSTX1欠損が抑制性シナプス伝達機能に影響することが明らかになった。STX1B有無によるグリア細胞―神経細胞の培養を組み合わせて更に検討を進めている。また、グリア細胞または神経細胞特異的なin vivo STX1B強制発現系を用いて幼若期における熱性けいれんへのグリア細胞のSTX1Bの関与を検討した。また、同じ発現系を用いて、薬剤誘発けいれん感受性への解析を進めている。

今後の研究の推進方策

次年度以降の研究計画として、長期培養条件下で明らかとなったSTX1B欠損による抑制性シナプス形成への影響について、幼若期熱性けいれんとの関連を探るため、切片レベルでの解析を引き続き行う。また、電気生理学的解析に関しては、当初の予定通りGABA再取込の阻害やSTX1強制発現等による効果に加えて、抑制性シナプス伝達機能の成熟に影響すると考えられる因子の添加による改善効果を検討する。また、同条件での神経細胞形態およびシナプス形成を解析する。さらに、in vivo STX1B強制発現系を用いて、STX1欠損マウスで見られる熱性けいれん、薬剤誘発けいれん感受性へのグリア細胞のSTX1Bの効果を引き続き検討する予定である。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Repetitive pulsed-wave ultrasound stimulation suppresses neural activity by modulating ambient GABA levels via effects on astrocytes2024

    • 著者名/発表者名
      Mishima T, Komano K, Tabaru M, Kofuji T, Saito A, Ugawa Y, Yasuo Terao
    • 雑誌名

      Front Cell Neurosci.

      巻: 18 ページ: 1-14

    • DOI

      10.3389/fncel.2024.1361242

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Disturbance of the reciprocal-interaction between the OXTergic and DAergic systems in the CNS causes atypical social behavior in syntaxin 1A knockout mice2021

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara Tomonori、Kofuji Takefumi、Akagawa Kimio
    • 雑誌名

      Behavioural Brain Research

      巻: 413 ページ: 113447-113447

    • DOI

      10.1016/j.bbr.2021.113447

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Syntaxin 1B regulates synaptic GABA release and extracellular GABA concentration, and is associated with temperature dependent seizures2021

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Mishima, Tomonori Fujiwara, Takefumi Kofuji, Ayako Saito, Yasuo Terao and Kimio Akagawa
    • 雑誌名

      Journal of Neurochemistry

      巻: 156 号: 5 ページ: 604-613

    • DOI

      10.1111/jnc.15159

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] グリア細胞におけるシンタキシン1B欠損はGABA放出の異常を引き起こす2022

    • 著者名/発表者名
      小藤剛史,三嶋竜弥,齋藤綾子,藤原智徳
    • 学会等名
      Neuro2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] シンタキシン1Bのハプロ不全による熱性けいれんの発症機序の解明2022

    • 著者名/発表者名
      三嶋竜弥,小藤剛史,藤原智徳,齋藤綾子,寺尾安生
    • 学会等名
      Neuro2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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