研究課題/領域番号 |
20K07931
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
毛利 彰宏 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (20597851)
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研究分担者 |
國澤 和生 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (60780773)
鍋島 俊隆 藤田医科大学, 保健学研究科, 客員教授 (70076751)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | トリプトファン代謝 / キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ(KMO) / フェンサイクリジン(PCP) / ポリイノシン-ポリシチジン(PolyI:C) / 統合失調症 / キヌレン酸 / 3-ヒドロキシキヌレニン / PolyI:C / キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ / 酸化ストレス / 神経発達障害 / フェンサイクリジン / プレパルスインヒビション / モデル動物 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠期のインフルエンザ感染がその出生児の統合失調症発症リスクを上昇させる。母体の免疫応答によるキヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ(KMO)活性化が胎児の神経発達障害を惹起し、発症脆弱性を上昇させる可能性がある。一方、統合失調症患者の死後脳における研究ではKMO の活性低下と NMDA 受容体に対して拮抗作用を示すキヌレン酸の増加が認められている。 KMO 活性低下は統合失調症の病態に寄与する可能性がある。これら可能性を実験動物モデルで検証し、統合失調症の神経発達障害仮説およびグルタミン酸仮説における KMO を中心とするトリプトファン代謝経路の関与を解明し、予防法・治療法の開発をめざす。
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研究成果の概要 |
キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ(KMO)遺伝子欠損マウスではフェンサイクリジン(PCP)による行動障害を悪化させるキヌレン酸が増加、それらを改善するキサンツレン酸およびキノリン酸の減少が認められ、KMO活性の低下によるTRP代謝基軸の変容は統合失調症の病態の重症度に関与することが示唆された。ウイルスRNA様の作用を示すPolyI:Cを妊娠マウスに投与すると、この母体から出生したマウスは統合失調症様の行動異常を示す。母体でのPolyI:CによるKMOの活性化が3-HKを産生し、胎児脳での酸化ストレスを惹起し、それが胎児の神経発達障害と統合失調症の発症脆弱性を上昇させることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで統合失調症になった状態(病態)について仮説としてのグルタミン酸仮説、統合失調症になっていく過程(発症機序)についての仮説としての神経発達障害仮説がある。それぞれの仮説に基づき多くの研究が実施されてきたが、両仮説に共通した分子に注目した研究されてこなかった。本研究において統合失調症へのトリプトファン代謝経路の関与を明らかにしたことで、複雑な発症機序および病態メカニズムをシンプルに統一することができた。本成果による統合失調症の神経発達障害仮説およびグルタミン酸仮説におけるKMOを中心とするトリプトファン代謝経路の関与を解明が統合失調症の予防法・治療法の開発の一助となることを期待したい。
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