研究課題/領域番号 |
20K07959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
柏木 宏子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 司法精神診療部, 医長 (90599705)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 統合失調症 / 暴力 / 認知機能 / 社会認知 / 脳形態画像 / 殺人 / 傷害 / 興奮 / 大脳皮質厚・表面積 / 自己超越性 / 視覚性記憶 / 社会機能 / 労働時間 / 記憶 / 自己超越性人格 / 脳形態 / オキシトシン |
研究開始時の研究の概要 |
率は低いものの、統合失調症罹患者では一般人口と比較して暴力の発生率が優位に高く、一部の統合失調症罹患者の社会復帰を阻害している。本研究では、症状、神経認知機能、社会認知機能の評価、脳形態、オキシトシン(愛着や信頼関係にかかわるホルモン)測定等を行い、暴力に関わる因子を抽出する。また、これらについて、統合失調症の暴力の減少に効果のある薬物治療であるクロザピン治療の前後での変化を調査する。これらを通して、認知機能リハビリテーション、社会認知トレーニング、オキシトシン投与といった治療の組み合わせによる、クロザピンに替わる有効な治療法の開発のために重要な資料を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
これまでの研究成果として、一般精神科における、暴力の既往のある統合失調症罹患者と、暴力の既往のない統合失調症罹患者の、臨床変数(陽性・陰性症状総合評価尺度、病識、服薬アドヒアランスの評価を含む)、社会機能、労働時間、生活の質(QOL)、人格特性、知的機能、認知機能(記憶機能、実行機能、注意機能、言語学習、処理速度、社会認知)を比較し、暴力の既往のある群は、暴力の既往のない群と比較して、過去の入院期間が長く、PANSSのfive factor model の興奮(興奮+敵意+非協調性+衝動性の調節障害)が高く、視覚性記憶が低く、TCI(Temperament and Character Inventory)で評価した自己超越性の人格傾向が強く、週当たりの労働時間(雇用,家事,就学を含む)が短いといった特徴があることを見いだした。また、脳形態画像(大脳皮質厚、表面積、大脳皮質、皮質下体積)を比較したところ、暴力の既往のある群と暴力の既往のない群に有意差は見られなかった。 他方で、妄想下において殺人などを意図した暴力と、一般精神科で入退院を繰り返すケースにみられるような、興奮状態で衝動的に行われる比較的軽微な暴力では、そのメカニズムや神経基盤が異なることが想定されるため、さらに対象を重大な暴力行為(殺人、殺人未遂、傷害等)の既往のある統合失調症群にも広げて研究を実施した。具体的には、重大な暴力の既往のある統合失調症罹患者に、主観的な生活の質、症状評価、病識、薬に対する意識、社会生活機能、労働時間、知能、病前知能、認知機能障害、脳形態画像、脳波、眼球運動の検査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病棟の工事が行われ患者が減少したことや、検査のための付き添いスタッフの同伴が困難となったことにより、研究に組み入れられた人数は少なく、解析はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
重大な暴力行為(殺人、殺人未遂、傷害等)の既往のある統合失調症群と、暴力の既往のない統合失調症群の、主観的な生活の質、症状評価、病識、薬に対する意識、社会生活機能、労働時間、知能、病前知能、認知機能障害、脳形態画像、脳波、眼球運動の検査を実施し、比較する。重大な暴力と軽微な暴力に関係する要因の違いについて検討する。
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