研究課題/領域番号 |
20K07966
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
城山 隆 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00252354)
|
研究分担者 |
前田 正幸 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70219278)
長谷川 智規 三重大学, 医学部附属病院, 技術職員 (40799954)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 双極性障害 / 統合失調症 / 白質 / 前頭葉 / 認知機能 / 非定型精神病 / 拡散テンソル画像 |
研究開始時の研究の概要 |
PBDはSZと比較して急性期の精神病症状が類似する一方で寛解期の状態や長期予後、神経認知・社会認知および重症気分障害と精神病症状の併存などの相違が論議されている。本研究では、拡散テンソル画像を用いてPBDの病態の神経基盤となる白質微細構造の変化をSZ、健常群と比較解析する。①TBSS;全脳白質skeletonを対象にPBD, SZ, 健常群を3群比較する。② TBSS-ROI; TBSS所見に基づいてROI設定し、3群比較する。③被験者個々のnative spaceでfiber tractographyを用いて3群比較する。④臨床データと白質障害との相関についてPBDとSZを比較する。
|
研究実績の概要 |
統合失調症(SCZ)と精神病症状を伴う双極性障害(PBD)白質微細構造の比較解析として全脳白質skeletonを対象としてTBSSを用いて解析してきたが、前年度まで報告したようにサンプルサイズを反映して結果は限られた所見にとどまっていた。TBSSを用いたSCZ,PBD,健常群(HC)のFA値、MD値、AD値、RD値を3群比較する際に、コントラストはSCZ-PBD, PBD-HC, SCZ-HC, PBD-SCZ, HC-PBD, HC-SCZの6となり、post-hoc比較解析のSCZ-PBDあるいはPBD-SCZの多重比較補正のための有意水準はP=0.05/6=0.008となるため有意な所見が出にくいことも原因と考えられた。そのため、TBSSの感度を上げる目的で、全脳白質skeletonではなく限局した白質skeleton領域を関心領域としてTBSSをおこなう、いわゆるROI-based TBSSを試みた。近年のENIGMAやCOCOROなどのコンソーシアム研究では、SCZと双極性障害(BD)ではともに広範な脳白質障害がみられ、とくに前頭葉で効果量の大きいことが報告されていることから、前頭葉白質の、小鉗子、脳梁漆、両側の前放線冠、上放線冠、においてPBD8例、SCZ8例、HC22例でROI-based TBSSを施行した。しかし、FA値、MD値、AD値、RD値いずれのDTI measuresにおいても、いずれの白質領域においても、PBDとSCZの有意差は検出されなかった。この結果は両者に共通した前頭葉白質障害を示唆するのか、サンプルサイズに起因する統計的パワーの不足によるものなのか、今後も検討を要する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究初年度にCOVID-19の感染拡大に伴ってSCZ、PBD、HCともに、解析が可能なレベルの画像クオリティを確認できた登録症例数の確保が遅れ、その後の解析スケジュールに影響していた。SCZとHCの2群比較およびPBDとHCの2群比較の結果が得られているが、TBSSを用いた全脳白質skeleton、および前頭葉白質のROI-based TBSSにおけるSCZ,PBD,HCの3群の直接比較解析の結果と照合して、結果を慎重に解釈するため、より頑健な方法での解析を模索していることで解析スケジュールの遅延をきたしている。
|
今後の研究の推進方策 |
PBD、SCZ、HCの3群比較によるTBSS解析の結果と、 SCZとHC, PBDとHCの2群比較のTBSS解析の結果に基づいて、過去の知見を考慮してfiber tractographyやROI解析も行いながら、PBDとSCZの白質障害に差異があるのかどうかという本研究で設定した問いについて考察を深めていく。
|