研究課題/領域番号 |
20K07971
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
越智 紳一郎 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (40568911)
|
研究分担者 |
西原 佑 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50568912)
朴 秀賢 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (60455665)
|
研究期間 (年度) |
2022-11-15 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 間歇型一酸化炭素中毒 / 成体海馬神経細胞新生 / ミクログリア / 神経栄養因子 / アセチルコリン / 神経幹細胞 / 全RNA解析 |
研究開始時の研究の概要 |
一酸化炭素(以下CO)中毒には急性中毒と、数週間の無症状後に認知機能低下などの症状をきたす間歇型CO中毒が存在するが、間歇型の発症機序は不明である。 本研究では、脳内の免疫や神経細胞新生などと関連するグリア細胞と呼ばれる細胞の一つであるミクログリアに着目し、CO曝露によるミクログリアの遺伝子の変化を網羅的に解析し、同時に末梢血での遺伝子発現変化も検討することでバイオマーカーの発見を目指す。加えて、認知症の治療に用いられるコリンエステラーゼ阻害薬投与による認知機能の改善効果及び遺伝子発現変化についても検討を行うことで、間歇型CO中毒の病態生理を解明し、新たな診断や治療に繋げることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
間歇型一酸化炭素(CO)中毒は、発症者数が多く重篤な認知機能障害を呈するが、その発現機序は不明であり、治療法も確立されていない。病態解明と有効な診断・治療法開発に繋げるために、CO曝露がミクログリアおよび末梢血における遺伝子発現に及ぼす変化を網羅的に解析すること、特に我々のこれまでの研究で示された成体海馬神経細胞新生における影響を検討することが、本研究の目的である。 6週齢の雄性Wisterラットをチャンバーに入れ、1000ppmで40分、3000ppmで20分、その後10000ppmでラットが意識消失するまで、COを曝露し間歇型CO中毒モデルを作成した。また、コントロール群として、同様にチャンバーに1時間入れておくAir群も作成した。 CO曝露ラットの認知機能変化を、受動回避試験による行動解析によって、群間比較評価し、CO群で低下するラットが有意に多いことを確認した。3週間後、ラットの脳組織を単細胞懸濁液に分散し、ミクログリア特異的抗体を用い、マグネットソーティングを行い、ミクログリアを単離した。さらに、セルソーターによりミクログリアが単離できていることを確認した。単離したミクログリアを用いてAir群及びCO群のミクログリアの全RNA解析を行い、詳細に解析したところ、CO群でいくつかの神経細胞栄養因子の遺伝子の発現が低下していることを見出した。さらに、マイクログリアのミトコンドリアの代謝能を調べたところ、ATPの産生が有意にCO群で低下していることなどを見出した。これらのことから、CO中毒はミクログリアの機能変化として、遺伝子発現の変化を引き起こし、さらにミクログリアの代謝能の低下をももたらし、更に少なくとも3週間後も改善していないことが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が米国留学していたため、研究を一時中断する必要があった。そのため再度実験系の構築などを行う必要があったため、実験に遅延が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度では再度Air群とCO群のモデルラットを作成し、各群のミクログリアを抽出し、全解析の結果から見出した候補遺伝子をqPCRを用いて、妥当性を検討し、そこまでの結果を論文として公表する。
|