研究課題/領域番号 |
20K07978
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岩井 孝志 北里大学, 薬学部, 講師 (90339135)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | うつ病 / オピオイド / 認知機能 / GABA / 海馬 / ストレス / 細胞死 / パルブアルブミン / ソマトスタチン / 慢性ストレス / 不安 / 抗うつ薬 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病において、認知機能(記憶や注意など)の障害は、抗うつ薬では改善しないため、治療の長期化や再発の原因となる。そのため、認知機能も治癒する抗うつ薬の開発が必要である。最近申請者らは、新規のδオピオイド受容体(DOR)逆作動薬が、うつ病モデルマウスの記憶障害を改善することを見出した。慢性的なストレスによって障害を受ける抑制性神経には、DORが発現することが知られていることから、DOR逆作動薬の記憶改善作用の標的である可能性が考えられる。本研究では、抑制性神経に着目し、DOR逆作動薬の記憶改善メカニズムを解明することで、新しい抗うつ薬の創薬標的を見出す。
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研究成果の概要 |
本研究では、抗うつ薬が効果を示さない治療抵抗性慢性ストレスモデルマウス(ACMSマウス)に対するδオピオイド受容体逆作動薬SYK-623の効果について検討した。ACMSマウスにおける学習記憶障害や抑うつ様行動の誘発をSYK-623は阻害した。学習記憶やストレス応答の調節に重要な海馬において、ACMSマウスでは正常なマウスと比べてGABA神経細胞数、GABA合成酵素(GAD)発現量、GAD陽性神経線維密度が減少しており、GABA神経障害が誘導されていた。SYK-623はストレスによって誘導されるGABA神経障害を抑制し、GABA神経に対してストレスから保護する効果があることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
うつ病患者の認知機能の低下は、気分の症状と比べて治療効果が見られにくく、治療期間の長期化、再発の要因となる。本研究ではδオピオイド受容体を介して、ストレスによるGABA神経障害を抑制することが、認知機能の改善に寄与する可能性を示唆した。この事により、従来の抗うつ薬とは異なるアプローチによりうつ病患者の脳機能を改善させる治療の開発につながることが期待される。さらに、認知機能と同様に、うつ病患者の寛解後にも残存する睡眠障害に対しても有効性を示唆する結果が得られ、本研究の成果が、うつ病治療のさまざまな側面に波及すると考えられる。
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