研究課題/領域番号 |
20K07984
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
吉野 相英 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 教授 (20191629)
|
研究分担者 |
岩田 朋大 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 精神科, 助教 (10860504)
立澤 賢孝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 精神科, 講師 (60276110)
古賀 農人 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 助教 (70744936)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん / SAMD12 / TNRC6A / RAPGEF2 / 臨床的促進現象 / リピート異常伸長変異 / 遺伝 |
研究開始時の研究の概要 |
BAFMEに関して、これまでの研究に精神症状発症や重症度との関連を報告した例はない。その理由として、BAFMEの症状を持つ患者は通常神経内科を受診するそのため精神症状を正確に捉えきれないことが考えられる。逆に精神症状が出現した患者が精神科を受診した場合、BAFMEと気づかず、例えば抗精神病薬による錐体外路症状の一部であるとされてしまうことが考えられる。本研究により、BAFMEの発症と精神病症状との相関を明らかにすることで、BAFMEの症状を持つ患者に対して適切な処置が施せる様になることに期待ができる。さらには、生物学的な機序が明らかにされていない精神疾患の病態生理の解明にも貢献できる。
|
研究実績の概要 |
BAFMEは、本邦に多くみられる遺伝性の疾患で、若年成人以降に発症する皮質振戦、ミオクロニー発作、稀発強直間代発作によって特徴づけられる。近年、8番染色体長腕に存在するSAMD12遺伝子のイントロン4における繰り返し配列の異常伸長との関連が報告された。一般的に繰り返し配列の異常伸長が疾患発症に関連する疾患は顕性遺伝である場合が多く、BAFMEも顕性遺伝との認識があるが、潜性遺伝の可能性は否定されていない。本研究では、疾患発症機序や遺伝形式の解明を目的として、BAFME家系のゲノムDNAを用い、SAMD12遺伝子イントロン4に加えて、関連候補遺伝子であるTNRC6Aのイントロン1とRAPGEF2のイントロン14に存在する繰り返し配列長を調査した。対象はBAFMEを発症した患者とその子供2名およびBAFMEを発症した兄弟2名の2家系、計5名である。 その結果、SAMD12遺伝子に関しては、2家系の内1家系は、BAFMEを発症する親において同遺伝子上のTTTTAが21リピートのホモ、その子供(非発症)においては21リピートと18リピートのヘテロであった。別の家系のBAFMEを発症した2名は、21ならびに20リピートであり、本研究の結果のみでは、BAFMEの発症に、潜性遺伝性の小規模な伸長変異の寄与が示唆された。しかし、本研究で検出された繰り返し配列長は、先行研究の報告からすれば、いずれも非罹患者で認められる繰り返し配列長の範囲(14~1050リピート)であった。また、TNRC6AおよびRAPGEF2遺伝子に関しては、罹患・非罹患者の繰り返し配列長変異に差は認められなかった。以上の結果から、BAFMEの病態形成において、これまでに関連が報告されているSAMD12・TNRC6A・RAPGEF2遺伝子のいずれも寄与しない機序の存在が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症対策により病院での検体採取が困難になり、待機する期間が長かったため、検体数が十分に得られず、研究の進行に遅れが生じた。しかしながら、現在までに2家系・5名からゲノムDNAが採取ができており、2022年度はこれらの対象者について遺伝子型を調査した。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年までに当科にて収集した5名の被験者の内3名がBAFMEを発症していたが、この3名には、IshiuraらによってBAFME発症との関連が報告されたSAMD12、RAPGEF2、TNRC6A遺伝子上の異常伸長変異が認められなかった。Ishiuraらによる報告以降、STARD7、MARCH6、YEATS2の3つの遺伝子が新たに病因遺伝子として報告されている。また、過去に、CNTN2遺伝子も関連遺伝子として報告されていた。そこで、2023年は、追加の検討として、STARD7、MARCH6、YEATS2ならびにCNTN2遺伝子上の変異を対象に5名の遺伝子型を決定し、BAFME発症との関連を明らかにする。また、BAFMEと診断された3名の被験者について、体性感覚誘発電位を含めた臨床所見の見直しも行う。
|