研究課題/領域番号 |
20K07987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
堤 香織 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (80344505)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ポリリン酸 / 放射線感受性 / ミトコンドリア / アデノシン三リン酸 / ATP量 / 腫瘍細胞 / ミトコンドリア膜透過性遷移孔 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリアは細胞死シグナルを伝達する重要な細胞内小器官であり放射線感受性に大きく関わる。また、ミトコンドリア膜透過性遷移孔の開口によるシトクロムCの遊離は、ミトコンドリア内でのアデノシン三リン酸(ATP)合成の低下や流出、小胞体からのカルシウムの放出を誘導しアポトーシスを誘導する。一方で、ポリリン酸は腫瘍細胞の放射線感受性増感効果をもつがその詳細なメカニズムは未解明である。本研究では、ポリリン酸がどのように腫瘍細胞の放射線感受性を高めているのか、ミトコンドリア活性調節に着眼してその制御メカニズムの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、ポリリン酸によるヒト肺非小細胞癌由来細胞株H1299の放射線感受性増感メカニズムを解明することを目標とした。ミトコンドリア膜電位はポリリン酸処理によってピルビン酸依存的に、細胞内ATP量はピルビン酸非依存的に減少した。乳酸分泌量やグルコース-6-リン酸脱水素酵素活性はポリリン酸処理群とコントロール群に差異は見られず、解糖系やペントースリン酸回路の関連性はみられなかった。ポリリン酸による細胞内ATP量の低下はミトコンドリア膜透過性遷移孔(mPTP)活性阻害剤シクロスポリンA存在下においても観察され、ポリリン酸によるATP量低下はmPTP活性とは別の経路に起因すると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、ポリリン酸による腫瘍の放射線感受性増感効果や細胞内ATP量の低下を確認していたが、その作用機序については不明であった。本研究によって、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(mPTP)活性への関与や解糖系、ペントースリン酸回路への関連性がみられなかったことから、これらの経路以外にポリリン酸が作用している可能性が明らかとなった。ポリリン酸は放射線感受性を高めるだけでなく、腫瘍の転移抑制効果を併せ持つことが報告されている。また、生体内高分子であるため生体への安全性は高い。今後の更なるメカニズムの解明により、ポリリン酸利用した効果的な放射線治療薬研究の発展が期待される。
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