研究課題
基盤研究(C)
グリオーマ幹細胞(glioma stem-like cell, GSC)の存在は膠芽腫の治療耐性に大きく影響していることから、画像によってGCSの高密度領域を視覚化することは有意義である。PET画像における低酸素細胞トレーサ とアミノ酸代謝トレーサ重複して集積する箇所にGSCが高密度に分布している、という仮説を明らかにする研究である。
膠芽腫において、低酸素細胞トレーサー 18F-FRP170 (FRP170) とアミノ酸トレーサー11C-methionine (Met)がpositron emission tomography (PET)で重複して集積する部分にはグリオーマ幹細胞が高密度に存在していることを立証することを目的とし研究を実施した。術前の膠芽腫症例14例において、FRP170-PETとMet-PETを撮像し、術中に両トレーサーの重複集積部と単独集積部の組織を採取。また、FRP170の高集積部の酸素分圧を専用のプローブで測定。術後にそれぞれの部位の組織を病理学的に検討した。結果として、両トレーサーがベン図の如く重複する部分を全例で認めた。FRP高集積部の酸素分圧は平均17.5mmHgでmildな低酸素環境であり、組織は中等度の壊死組織と腫瘍細胞の増生が認められた。重複集積部は、微小壊死と血管増生が近接して混在する組織であった。Met単独集積部は、大型の異形細胞が高密度に増生する所見を高頻度に認めた。重複集積部はグリオーマ幹細胞マーカーであるnestin, CD133, SOX2, musashi-1の陽性率が単独集積部より高値を示す傾向を示した。結論として、FRP170高集積部はmildな低酸素環境で壊死組織を含みつつ代謝が保たれ、高密度の腫瘍細胞領域を伴う組織であることが確認された。しかも、FRP170がMetと重複して集積する箇所は、腫瘍幹細胞ニッチとされる低酸素組織と血管近傍組織が近接混在する組織であったこと、かつグリオーマ幹細胞関連蛋白が高陽性率を示したことから、グリオーマ幹細胞様腫瘍細胞の高密度領域である可能性が示唆された。
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