研究課題/領域番号 |
20K08019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 (2021-2023) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
石守 崇好 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 保健・健康研究部, 研究主幹 (70742211)
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研究分担者 |
子安 翔 京都大学, 医学研究科, 助教 (80781913)
志水 陽一 京都大学, 医学研究科, 講師 (90634212)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ケモカイン / CXCR4 / pentixafor / PET / ケモカイン受容体 / 分子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
ケモカイン受容体を認識し、陽電子放出核種で標識した放射性プローブ(Ga-68 pentixafor)を合成し、腫瘍モデル小動物および担癌患者に投与してPETイメージングを行うことにより、悪性腫瘍におけるケモカイン受容体の発現を評価する。これらをもとに、抗ケモカイン受容体抗体による治療効果を予測できるかどうかという観点で、PET分子イメージングのコンパニオン診断としての有効性を検討する。 また、従来この抗体が用いられていなかった腫瘍における有効性をGa-68 pentixafor-PETを用いて予測し、新たな個別化医療の可能性についても探索を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究においては、ケモカイン受容体を認識する放射性プローブを用い、その集積性によってケモカイン受容体発現を評価可能かどうか検討し、病態の解明や個別化医療への応用を計画している。 ケモカイン受容体のうち、CXCR4受容体を標的とした放射性プローブとして陽電子放出核種であるGa-68で標識した pentixaforが知られており、本研究において、これを用いたPETイメージングの検討を計画している。Ga-68の製造に用いる68Ge/68Ga generatorは高額なため本研究費のみでは入手困難であるが、施設内においても前年度に引き続き入手困難であり、以前にgeneratorが限定的に利用可能であった機会にpentixafor前駆体を用いて、標識薬剤の合成を行った以後は薬剤合成を実施できていない。 ケモカイン受容体の選択性の差異を検討するため、ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体であるMogamulizumabをIn-111で標識した薬剤と、Ga-68 標識pentixaforを用いて、CCR4発現/未発現のHCT-116細胞における両薬剤の取り込みの差異を検討した。発現/未発現細胞のIn-111 mogamulizumabの取り込み比は約100倍であったが、Ga-68 pentixaforの取り込み比は約1.3倍とほとんど差異がなく、pentixaforの親和性には受容体の種類による明確な選択性が存在することが判明した。このため、当初の研究計画にあった、pentixafor集積によるCCR4発現の評価は困難と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Ga-68標識pentixaforの合成は以前に行うことができたが、68Ge/68Ga generatorは高額なため本研究費のみでは入手困難であり、施設内においても入手が困難な状況が続いている。サイクロトロンを利用したGa-68を得ることは施設内にて可能となっているが、Ga-68合成費用の捻出が困難であり、Ga-68を用いたpentixafor合成が実施できないため、基礎的検討・臨床研究が進んでいない。当初想定していたpentixafor集積とCCR4発現の関連性は否定的であることが判明したため、Ga-68 pentixafor集積によるCXCR4受容体発現の評価の目的、対象について再検討が必要である。また、先に購入したpentixafor前駆体はライセンス上の問題で臨床研究に使用困難である可能性が判明したため、臨床研究のためには別途臨床使用可能なpentixafor前駆体の入手が必要となったが、その購入費用の捻出は困難であるため入手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
CXCR4受容体を標的としたPET製剤のGa-68標識pentixaforについては、入手した前駆体による非臨床試験は可能であり、サイクロトロンにより製造されたGa-68が利用可能となれば、購入済の前駆体との薬剤合成による基礎的検討を計画している。当初想定していたCCR4ではなくCXCR4発現の評価が適切な診断・治療の標的となる腫瘍については再検討の必要があるが、Ga-68標識pentixaforを用いた診断について、臨床研究の方向性を改めて探究する予定である。
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