研究課題/領域番号 |
20K08031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 浩 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20360357)
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研究分担者 |
小島 隆生 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50807469)
久保 均 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00325292)
高橋 和弘 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20370257)
石井 士朗 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90508813)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | PET / PET/MRI / O-15標識ガス / 脳血流量 / 脳酸素摂取率 / 脳血管障害 / MRI / brain / CBF / OEF |
研究開始時の研究の概要 |
同時収集型PET/MRI装置およびO-15標識ガスを用いて脳循環代謝諸量(脳血流量、脳血液量、脳酸素摂取率、脳酸素消費量)のPET測定を健常者および閉塞性脳血管障害患者を対象に行う。PETと同時に撮像可能なMRIを用いて、脳形態・血管の撮像と水拡散の計測、MRSによる乳酸等の代謝物計測も行い、水拡散の異常を来す脳虚血性病変も含めた閉塞性脳血管障害部位における酸素需給等の脳循環代謝病態を明らかにする。また、PETと同時にMRIで脳形態画像を経時的に撮像することによりPET画像のリアルタイム体動補正および脳萎縮の影響の補正を行い、同時収集型PET/MRI装置による脳循環代謝計測の高精度化を図る。
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研究実績の概要 |
今年度は、研究対象となる慢性期の閉塞性脳血管障害の患者のリクルートを実施すると共に、O-15標識ガス定常吸入法PET検査による脳血流量(CBF)、脳血液量(CBV)、脳酸素摂取率(OEF)、脳酸素消費量(CMRO2)の無採血での非侵襲的な脳循環代謝諸量の測定法の開発について、O-15標識ガスPET検査の実測データによる妥当性の検証を行った。C15O、15O2、C15O2によるPETスキャンの放射能濃度画像上、参照領域と対象領域に関心領域を設定して放射能濃度を求め、参照領域におけるCBF、CBV、OEFを仮定して、CBF、CBV、OEF、CMRO2の対象領域/参照領域比(RCBF、RCBV、ROEF、RCMRO2)を算出した。参照部位のCBF、CBV、OEFの値が仮定値と異なった場合の測定誤差をシミュレーションで評価したところ、参照部位の値が±30%変動した場合、RCBF、ROEF共に±10%以下の測定誤差であった。RCBF、RCBV、ROEF、RCMRO2は動脈採血データを用いて算出したCBF、CBV、OEF、CMRO2の対象領域/参照領域比との間に病変側、病変対側共に良好な相関(r=0.95-1.00)を示した。本法では病態によるCBVの変化も考慮に入れたOEFの評価を行っているため、シミュレーションで示されたように閉塞性脳血管障害におけるmisery perfusionでみられるようなCBVの増加を伴うOEFの上昇を正確に評価することが理論上可能である。また、実測データにおいても閉塞性脳血管障害でのmisery perfusionにおけるOEFの上昇やmatched hypoperfusionにおけるCMRO2の低下を正確に評価し得ることが示され、本法は閉塞性脳血管障害の病態評価に応用可能と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
慢性期の閉塞性脳血管障害の患者を対象にした統合型PET/MRI装置を用いたO-15標識ガスPET検査を施行中であるが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等のため、研究の進捗に遅れが生じた。一方、15標識ガスPET検査による脳循環代謝諸量の非侵襲的な測定方法の開発をさらに進めることができ、動脈採血が施行できない症例においても脳循環代謝諸量の測定法を施行することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
5年目以降は当初の研究計画に沿って、閉塞性脳血管障害の患者を対象に、1年目の研究で確立した統合型PET/MRI装置を用いたO-15標識ガスPET検査による脳循環代謝諸量の測定を施行する。画像解析も2年目の研究で構築した正常データベースを用いて、ボクセル単位および関心領域単位での病態評価を行う。この際、MRIにより同時に測定された脳循環代謝関連情報、特に、水拡散の異常を来す脳虚血性病変およびその周辺部位をはじめとする病変の酸素需給等の脳循環代謝病態を中心に解析を行う。
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