研究課題/領域番号 |
20K08059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石橋 直也 日本大学, 医学部, 准教授 (40649331)
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研究分担者 |
藤原 恭子 日本大学, 歯学部, 准教授 (40595708)
渡部 隆義 千葉県がんセンター(研究所), がん研究開発グループ, 研究員 (60526060)
篠崎 喜脩 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (00766553)
西巻 はるな 日本大学, 医学部, 助手 (00834152)
前林 俊也 日本大学, 医学部, 准教授 (20409006)
前林 亜紀 日本大学, 医学部, 助教 (90451369)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | オキソプラチン / PIポリアミド / シスプラチン / UCHL1 / 放射線治療 / 低酸素細胞 / 放射線増感剤 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、腫瘍細胞の低酸素状態でのHIF-1αの発現など様々な反応が解明され放射線抵抗性の原因として注目されている。本研究では、核DNAに配列特異的に結合する性質を持つPIポリアミドを用い、HIF-1αの制御機構をターゲットにした低酸素状態の放射線抵抗性を克服する新たな放射線増感剤である抗低酸素PIPの開発を試みる。さらに既存の抗がん剤である白金製剤cisplatinの類似白金錯体(Pt)を結合した抗低酸素PIP-Ptを合成し、その放射線増感効果を高めたい。
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研究実績の概要 |
HeLa細胞に対しcisplatin及びPy3-Oxoを10μMずつ投与しX線照射後24時間後にIC50を測定し比較することでPIP-cisplatinコンジュゲート化合物のX線増感効果の検証を行った。 HeLa細胞を6cm dishに1x106cells/well播種し、24時間後cisplatin10μL及びPy3-Oxoを0.1μM,0.3μM,1.0μM,3.0μM,10μM,30μMずつ投与しX線照射を行った。X線照射はMX-80Laboにより管電圧80kv、管電流1.25mA、照射距離110mmの条件で5Gy及び10Gyの照射を行った。照射後48時間培養し、WSTアッセイによりIC50を測定した。 結果はX線照射無しにおけるIC50はcisplatin=6.8μM及びPy3-Oxo=2.5μMとPy3-Oxoの毒性は高かったが、5Gy照射後48時間におけるIC50はcisplatin=3.8μM及びPy3-Oxo=3.4μMと有意なX線増感効果は見られず、10Gy照射後48時間におけるIC50はcisplatin=1.6μM及びPy3-Oxo=1.7μMとこちらも有意な増感効果を得られなかった。この結果より、Py3-Oxoはピロールの3量体と短く、核集積能が低くcisplatinの核集積が想定よりも低い可能性が示唆された。 そこで核内集積及び放射線耐性遺伝子であることが報告されているHIF1a遺伝子及びUCHL遺伝子を標的とする8塩基認識のPIPにOxoplatinを縮合したHIF1a-UCHL-Oxoを合成した。Oxo-HIF1a-UCHL1の50%阻害濃度IC50を計測したところかなり毒性が低いことが分かり、IC50は30μM以上であった。Oxo-HIF1a-UCHL1の濃度を100μMまで上げるとIC50のより正確な値を測定できると予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Oxo-Py3からHIF1aおよびUCHL1の両方の遺伝子配列を同時にターゲットにしたHIF1a-UCHL-Oxoの合成も千葉県がんセンター研究所で行った。このHIF1a-UCHL-Oxoの50%阻害濃度IC50を計測したところかなり毒性が低いことが分かり、IC50は30μM以上であった。HIF1a-UCHL-Oxoの濃度を100μMまで上げるとIC50のより正確な値を測定できると予想されたがそれだけの濃度にするにはHIF1a-UCHL-Oxoの合成量を足りなくなった。 また新型コロナウイルスの感染症予防の観点から昨年度も研究代表者が千葉県がんセンター研究所に入所することが困難であった。また引き続き日本大学医学部の日立X線照射装置(MBR-1520R-3)が故障しており放射線照射条件などの検討が十分に行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
HIF1a-UCHL-OxoのIC50は30μM以上でこの濃度にするにはHIF1a-UCHL-Oxoの合成量を増やす必要がある。このOxo-Py3とHIF1a-UCHL-OxoのIC50に明らかな差があった理由としてHIF1a-UCHL-Oxoは分子量が2100を超えており、細胞に入りにくい可能性が考えられた。またオキソプラチンとヘアピンPIポリアミドの立体阻害によりDNAとの結合が落ち、DNAとオキソプラチンのアルキル化部位の配位がズレており、アルキル化の効率が落ちたため毒性が低下した可能性がある。 今後はOxo-Py3とHIF1a-UCHL-OxoをHeLa細胞に投与して放射線を照射してWST法による細胞生存率の評価を行い毒性がどう変化するか検証を行う。
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