研究課題/領域番号 |
20K08065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
劉 翠華 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主任研究員 (00512427)
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研究分担者 |
平山 亮一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主幹研究員 (90435701)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 低酸素培養 / miRNA array / 放射線 / Fold change / ダウンレギュレート / アップレギュレート / 高LET炭素線 / 照射 / 炭素線 / miRNAプロファイリング / 低酸素ストレス応答 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで我々はX線や炭素線などの放射線照射後、低酸素環境で培養した細胞は放射線抵抗性になり、染色体異常頻度は低いことを明らかにしてきた。その詳細メカニズムを解析するために1)照射後、異なる酸素濃度環境で培養した細胞のmiRNAのプロファイリングを解析し、培養する有・低酸素環境の中で特異的に変化するmiRNAを特定する。2)低酸素環境特異的なmiRNA及びタンパク質の発現と細胞致死や染色体異常頻度の生物応答の関連性について明らかにする。これらの結果から放射線照射後の有・低酸素環境に対する細胞応答機構を遺伝子、タンパク質、染色体ならびに細胞レベルでの機構解明に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究では、生体内の低酸素環境を模擬した実験系において、培養した細胞のmiRNAの発現により、低酸素環境で培養した細胞の放射線抵抗性や染色体異常頻度の低減に関するメカニズムをmiRNAレベルで明らかにすることを目的にしている。miRNAは、遺伝子発現を抑制する効果を持つ21~25塩基程度の一本鎖RNAで,タンパク質の翻訳や生産量の制御遺伝子発現の自然調節を役割とし、すべての細胞プロセスに影響を与えていることが報告されている。 マウス腎臓初代培養細胞及びヒト脳腫瘍細胞U87を用い、X線や高LET炭素線で照射し、照射された細胞を1%、3%、21%酸素濃度環境で培養し、細胞から抽出したmiRNAの網羅的解析を行った。その結果、マウス腎臓初代培養細胞は照射後の低酸素環境で培養した細胞のmiRNA Fold Changeは、常酸素環境(21%酸素)で培養した細胞を基準に2倍以上アップレギュレートしたmiRNAと0.5倍以下にダウンレギュレートしたmiRNAが数多く検出された。また、マウス腎臓初代培養細胞は照射の有無に関わらず、U87細胞より低酸素環境下で変動したmiRNAが数多く見られた。常酸素環境と比較すると、1%低酸素濃度環境ではmiRNAの変動数は3%の環境よりも多かった。一方、U87細胞では、変動したmiRNA数は少なく、酸素濃度の違いによる影響はマウス腎臓初代培養細胞より小さいことがわかった。また、照射した細胞と同じ酸素濃度環境で培養した非照射細胞を比較すると、両細胞とも0.5倍以下にダウンレギュレートしたmiRNAが数多く見られた。 これらの結果から、マウス腎臓初代培養細胞はヒト脳腫瘍細胞U87より酸素濃度の影響を受けやすい事が明らかになった。今後、発現頻度が大きく変化したmiRNAについての機能解析を行い、低酸素ストレスや放射線被ばく影響の関連性を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
二種類の細胞をX線や高LET炭素線照射後、異なる酸素濃度環境で培養し、細胞からのmiRNAを含むトータルRNAを抽出し、miRNAサンプルをGeneChip miRNA Arrayを使用して網羅的なmiRNA解析を行った。しかし、miRNA数が多いため、データの総合的な解析ならびに解釈に予想をうわまわる時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
今まで得られた結果を基にして、低酸素に反応して大きな変動が見られたmiRNAについての機能解析に着手し、染色体修復や細胞増殖などの致死損傷に関連するmiRNAとの相関性を明らかにする予定である。さらに特定したmiRNAのmimicあるいはinhibitorを用いて、細胞の生死にかかわるかどうかについて検討する。
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