研究課題/領域番号 |
20K08100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榎本 敦 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (20323602)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Calcium / Calpain / MAPK family / radio-sensitization / カルシウム / MAP3K / カルパイン / 放射線増感 / MAP3Ks / ハイパーサーミア / 放射線 / 温熱 / MAPK / TAK1 / MEKK2 / イメージング / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
放射線や温熱は細胞内カルシウム濃度の一過的な上昇(スパーク)を引き起こすことが知られている。一方、細胞内には多数のカルシウム結合性・依存性タンパク質や分解酵素が存在しているにもかかわらず、ストレスによるカルシウムスパークはアポトーシス誘導におけるセカンドメッセンジャーとしての機能以外にはほとんど知られていない。そこで本研究では、放射線や温熱による細胞内カルシウムスパークに焦点を当て、生細胞カルシウムイメージングを用いて細胞応答やプロテオーム解析を行い、カルシウムシグナルによる放射線初期応答の制御機構や温熱増感メカニズムの解明並びにカルシウム応答タンパク質を標的とした新規の増感法の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究はでは様々な培養細胞を用いて、エックス線と温熱の単独・併用時によるタンパク質の挙動についてプロテオーム解析により分析した。その結果、温熱処理特異的にMAP3KメンバーであるMEKK2、RAF1、TAK, ASK1, MLK-3の発現量が低下した。これらのMAP3K発現低下はプロテアーゼ阻害剤によって抑制された。一方、エックス線照射ではこれらのMAP3Kメンバーはむしろ活性化を示した。MAP3Kの発現をsiRNAにより抑制したところ、細胞増殖やコロニー形成能が顕著に抑制された。以上の結果より、温熱はエックス線によるMAP3K活性化を阻害し、放射線増感をもたらす可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
古くから温熱療法は抗腫瘍効果や放射線による治療効果を亢進させる働きがあることが知られている。温熱に関してはタンパク質の変性を誘導するものの、何故、再合成や再構成が可能なタンパク質の一時的な構造的変化が細胞致死あるいは放射線増感を引き起こすのかは未解明な点が多い。本研究により、放射線で活性化し、細胞増殖を正に制御するRAF1、MEKK2をはじめ複数のMAP3ksが温熱処理により発現や活性が低下することが判明した。この発見は温熱感受性の重要な標的分子となるだけではなく、ハイパーサーミアが有効ではない部位におけるがん治療や放射線増感に向けた分子標的薬の開発につながることが期待される。
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