研究課題
基盤研究(C)
HFMにおいては造血細胞移植は無効で、正確な診断に基づき可及的早期にフォリン酸の静注を開始し、永続的に行なう必要がある。また、 急性期を脱した例でも、葉酸の髄液移行障害による脳障害を合併する例が多いが、至適な治療法は確立していない。申請者らは最近報告した4例を含む6例を国内で初めて確定診断した。 全例でみられた親由来の検出困難なスプライス変異は全国に広がっており、未診断例や既に 死亡した例が多く存在することが示唆された。本研究の目的は、HFMの認識を広め、早期診断に基づく早期治療開始による予後の改善と、有効な治療法を検討することを目的とする。
*遺伝性葉酸吸収不全症(HFM)の診断:臨床症状と遺伝子解析結果から疑っていた非日本人のHFM疑い例で葉酸取り込み能の低下から確定診断した。*HFMの治療として有効なフォリン酸静注、筋注製剤が葉酸欠乏の保険適応になっておらず、発症時には緊急を行わないと致死的な経過をとるにも関わらず、各症例ごとにそれぞれの施設で倫理委員会を通す必要があり、大きな問題である。適応拡大に向けて、上記のHFM診断を含む全症例について治療経過と転機の関連性、全国調査結果を踏まえて、論文化を進めている。*かずさDNA研究所遺伝子検査室での保険診療での原発性免疫不全症のパネル遺伝子解析に、2022年4月からHFMの責任遺伝子SLC46A1も含めることになった。申請 者が初めて報告した日本人の創始者変異と考えられるdeep intronic mutationも検出可能な検査とし、申請者が評価委員となることになった。現在までのところ遺伝子診断された例は出ていない。
3: やや遅れている
HFM新規症例を新たに複数例診断し、さらに保険診療での検査に組み込まれたことによって、今後さらに多くの患者が早期に診断されることが見込まれる状況となったため、疑い症例の検討を行ってきた。治療についても、今後HFM治療に不可欠なフォリン酸が倫理委員会での承認を得ずに使用できるように活動しており、これが実現すれば、本研究の目的であるHFMの早期診断に加え、適切な治療による予後の改善が期待できると考えられる。本年度は論文化を進めていく予定である。
HFMの論文化や学会発表によるさらなる周知活動を進め、診断については、かずさDNA研究所遺伝子検査室と連携し、遺伝子解析を迅速に行う。申請者は機能解析をさらに進め、フォリン酸の適応拡大に向けて調整を行なっていく。また、新規治療法についても検討を進めたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
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