研究課題
基盤研究(C)
本研究でコクサッキーA6型(CV-A6)の臨床症状(病原性)を明確にし、エンテロウイルス間の組換えを含むゲノム解析をおこなって相関を明らかにする。臨床症状が明確になった患者検体についてCV-A6を含むエンテロウイルスの検査を実施し、 CV-A6が陽性となった検体の塩基配列を決定して配列の特徴を明らかにする。臨床症状と、他のエンテロウイルスとの組換えも含め、CV-A6で遺伝子変異が多い3D領域などの複数領 域の塩基配列および推定されるアミノ酸と、臨床診断との相関を明らかにする。
コクサッキーウイルスA6型(CV-A6)は2011年まではヘルパンギーナであったが、2011年から非典型的な手足口病(HFMD)に変化している。この変化は世界的であり組換えサブクレードD3/RF-Aとの関連が報告されている(Tomba et al.,Viruses,2022)。病態変化に関連する可能性がある遺伝子変異は、Gauntらによる研究(J. Gen. Virol.,2015)によれば、非構造タンパク質コード領域の組換え変化によることが推定されてる。これまでの研究から、構造タンパク質領域、特に血清型決定に関与するVP1領域に関しては比較的保存されていることが分かっている。本研究では、CV-A6の病態変化に関与するとされる3Dポリメラーゼ領域の配列について、日本の検出株を調査している。その結果、非翻訳領域の3Dポリメラーゼ領域の塩基配列に基づいて、A型、B型、C型、およびE型の4種類に分類される株が検出され、分離株を確保した。病態変化に関与するとされるA型は、2003年に単発的に検出され、その後、2009年に検出されたCV-A6のほとんどを占めたのち、現在の主流となっている。日本の状況においても非構造タンパク領域の組換え変異による病態変化の仮説が支持されることを示唆している。米国のエンテロウイルスサーベイランスでもCV-A6は主要な病原体であり、世界的の検出株と日本の検出株の比較も進めている。
3: やや遅れている
2023年度は、新型コロナウイルスの際に迅速な検査法が主要な必要項目であったことを考慮して、エンテロウイルスを含むの検査法に関する研究に注力した。そのため、疫学的研究としての本研究課題の進捗がやや遅れた。
コクサッキーウイルスA6型の全塩基配列を決定して、3D領域および2C領域を含む非構造タンパク質コード領域について、構造タンパク質領域とともに解析する。2024年度は、手足口病の流行が報告されはじめているので、2024年の検出株も含めて解析することを計画している。
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