研究課題
基盤研究(C)
本研究でコクサッキーA6型(CV-A6)の臨床症状(病原性)を明確にし、エンテロウイルス間の組換えを含むゲノム解析をおこなって相関を明らかにする。臨床症状が明確になった患者検体についてCV-A6を含むエンテロウイルスの検査を実施し、 CV-A6が陽性となった検体の塩基配列を決定して配列の特徴を明らかにする。臨床症状と、他のエンテロウイルスとの組換えも含め、CV-A6で遺伝子変異が多い3D領域などの複数領 域の塩基配列および推定されるアミノ酸と、臨床診断との相関を明らかにする。
CV-A6による主要な感染症は近年、ヘルパンギーナから非典型的な手足口病(HFMD)に変化している。この変化は2005~2007年に始まり、世界的な広がりをもつ組換えサブクレードD3/RF-Aとの関連が報告されている(Tomba et al.,Viruses,2022)。病態変化は、Gauntらによる研究(J. Gen. Virol.,2015)によれば、3Dポリメラーゼ領域などの非構造タンパク領域の変化によると推定されてる。本研究では、CV-A6の病態変化に関与するとされる3Dポリメラーゼ領域の配列について、日本の検出株(1999~2013年に収集された29株)を調査した。その結果、3Dポリメラーゼ領域の塩基配列に基づいて、A型、B型、C型、およびE型の4つに分類される株が検出された。具体的には、A型が19株、B型が5株、C型が4株、E型が1株に分類された。また、病態変化に関与するとされるA型は、2003年に単発的に検出され、その後、2009年に検出されたCV-A6の83.3%を占め、2011年と2013年には100%となった。これは、日本の状況においても3Dポリメラーゼ領域の変化による病態変化の仮説が支持されることを示唆しており、2009年以降、CV-A6の病態がヘルパンギーナからHFMDに変化した可能性があることを示唆している
3: やや遅れている
2022年度は新型コロナウイルスの影響が残り研究の遂行に影響した。手足口病およびヘルパンギーナの患者発生が少なかったことも影響した。
当初予定していた3D polymerase領域の塩基配列の変化がCV-A6の病態変化に良く相関していることを支持する結果が2022年度の研究により得られた。N数が十分ではないので、さらに増やして研究を続けることによりエンテロウイルスの病原性変化と遺伝子変異の関連をまとめたい。
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