研究課題/領域番号 |
20K08178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院(臨床研究室) |
研究代表者 |
佐野 伸一朗 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院(臨床研究室), 臨床研究室, 医長 (60535574)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | Pseudohypoparathyroidism / GNAS / PHP-Ib / メチル化異常 / レトロトランスポゾン / 偽性副甲状腺機能低下症 / PHP / インプリンティング疾患 / ゲノムワイド解析 / エキソーム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
先天性GNAS関連疾患はGsα/cAMP/ PKA 経路の遺伝学的異常に起因する稀な疾患で、偽性副甲状腺機能低下症 (PHP) とAcrodysostosisが含まれるが、現在のところ根本治療はない。PHPで認められるGNASメチル化可変領域 (DMR) (以下GNAS-DMRs) の異常は人種を超えて共通であるが、その発症機序は不明である。本研究の目的は以下の2つである。 ①先天性GNAS関連疾患の分子遺伝学的原因に基づいた周産期を含む臨床像を明らかとする。 ②PHPにおけるGNAS-DMRsメチル化異常発症メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
①本邦PHPの出生時からのデータはまだ予定症例数に及ばないが、入手済データより解析を開始している。現在GNAS遺伝子異常に伴うPHP28名(欠失含む)、メチル化異常に伴うPHP85名(GNAS broad methylation defects 45名, STX16微小欠失27名)のデータ整理が終了している。 PHP-Iaと臨床診断された1例に、スプライスバリアントによると考えられる症例を同定した。患者セルラインを用いて分子遺伝学解析により、異常なスプライスバリアントが生じることを証明できた。論文投稿し受理された。。 ②本邦PHP-Ib患者84人を分子遺伝学的原因別(4か所のDifferentially methylation regions: DMRのメチル化状態を解析)に5つのグループに分類(G1: autosomal dominant inherited PHP-Ib, G2: sporadic-PHP-Ib, G3-5: atypical-PHP-Ib)に分類し、各グループの臨床的特徴について比較した。G2はたのグループに比して診断時年齢が若く、血清副甲状腺ホルモン(PTH)レベルが高値であった。もっともよく認められた臨床像は、G1ではテタニーであり、G2では、痙攣と意識障害であった。臨床的にPHPを疑うようなAlbright’s hereditary osteodystrophy (AHO) は、G2グループにおける発端者で認められた。9人の患者に中等度の知的障害や発達遅滞といった神経学的異常を認めた。グループ間でA/B-DMRのメチル化状態に有意な差は認めなかった。 以上の結果を論文投稿し受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2024年度は人事異動があり当科職員欠員となった。そのため通常業務(病院における診療)が著しく多忙となり、本研究へのエフォートが減少したため、十分な進捗が得られなかった。 またPHP症例集積が進まなかった。この理由としては、商業ベースで本疾患(類縁疾患を含む)の遺伝学的解析が可能となったため、我々への遺伝学的解析依頼が減少したことによると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
GNAS遺伝子変異によるPHP-Ia症例の集積は進んでいるが、臨床像の整理はまだ未着手の状態である。各症例の成長記録の集積を進めたいと考えているが、まだ症例数は十分とは言えない。しかし現在ある症例をもとにデータを解析を進めていくまた近年、遺伝子バリアントの評価については、ACMGからガイドラインが発表されており、これまでにわれわれが解析したバリアントについて改めて再評価を進めていき、病原性変異の確からしさを確認していく作業進めていく。以上により本邦PHP-Ia症例のGenotype-Phenotype correlation を明らかにすることを考えている。
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