研究課題/領域番号 |
20K08184
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
岡成 和夫 大分大学, 医学部, 客員研究員 (90527657)
|
研究分担者 |
花田 礼子 大分大学, 医学部, 教授 (00343707)
井原 健二 大分大学, 医学部, 教授 (80294932)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | Antiseizure drugs / Epilepsy / Neurotransmitter / Pentylenetetrazol / Seizure / Zebrafish / ゼブラフィッシュ / てんかん / 神経伝達物質 / アデノシン / 脳波 |
研究開始時の研究の概要 |
てんかん病態と脳内における神経調節物質・アデノシンA2A動態との相関に焦点を当てて解析することで、てんかんにおける新たな病態メカニズムの解明を目指す。具体的な目標としては以下のとおりである。 1)ゼブラフィッシュを用いたてんかんモデル動物の確立ならびに病態生理学的解析 2)蛍光センサー・GRABADOを用いた脳内アデノシン動態可視化ゼブラフィッシュの構築とてんかん発作時のアデノシン-A2Aシステム動態の解明 3)見出された知見をもとに、てんかん病態におけるアデノシン-A2Aシステムを介する分子メカニズムの解明および診断・治療応用への可能性の追究
|
研究実績の概要 |
成体ゼブラフィッシュのペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発発作モデルを用いて、レベチラセタム(LEV)、カルバマゼピン(CBZ)、フェンフルラミン(FFR)などの抗てんかん薬(AED)が神経伝達物質の動態に与える影響について実験を行った。神経伝達物質は、グルタミン酸、γ-アミノ酪酸(GABA)、セロトニン(5-HT)、5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)、コリン、アセチルコリン、ノルエピネフリン、ドーパミン(DA)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、アデノシンの変化を調べた。この研究では、PTZ誘発発作の直後に脳内の5-HTとDAレベルが上昇することが観察された。行動試験により、これらすべてのAEDがPTZ誘発発作を抑制することが明らかになった。PTZ誘発発作をこれらのAEDで治療すると、CBZはグルタミン酸レベルを低下させ、FFRはGABAレベルを上昇させたが、LEV投与後の脳では神経伝達物質の変化は観察されなかった。このように、LEV、CBZ、FFRの投与により、PTZ誘発てんかん発作時の行動変化に関連した一連の神経伝達物質の変化が示された。これらの実験結果は、AED治療下における行動変化や神経伝達物質変化に関連したてんかんの病態をより詳細に理解することにつながると考えられる。 この研究の成果を英文でまとめ、Behavioral and neurotransmitter changes on antiepileptic drugs treatment in the zebrafish pentylenetetrazol-induced seizure modelのタイトルで、Behavioural Brain Researchに投稿し、受理された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験手法が変更になり、ゼブラフィッシュを用いたてんかんモデルでの脳内神経伝達物質の動態と行動を解析することに時間を要した。さらに、研究成果をまとめて、英文雑誌に投稿の際に、編集者とのやり取りの中で実験結果の見直しにも時間を要し、当初の予定よりやや遅れたが、最終的にBehavioural Brain Researchに投稿し、受理された。
|
今後の研究の推進方策 |
今回の実験で得られた手法と結果をもとに、他の薬剤で脳内神経伝達物質の動態を解析し、てんかんの新たな分子病態を解明し、新たな治療薬の開発やリポジショニングに発展させていきたいと考えている。
|