研究課題/領域番号 |
20K08186
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) 京都府立医科大学 (2020) |
研究代表者 |
谷田 任司 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 講師 (30589453)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | エネルギー代謝 / エストロゲン関連受容体ERR / ミトコンドリア / グルコース枯渇 / ニューロン / 転写因子 / 転写共役因子 / LRPGC1 / ERRγ / TFAM / 細胞内動態 / 生細胞イメージング / 海馬初代培養系 / 乳酸 / 代謝リプログラミング / 転写制御 / 脳発達 |
研究開始時の研究の概要 |
脳の発生・発達過程におけるエネルギー代謝は重要である。一方、初期成長段階における脳内エネルギー代謝の不全が発達障害に繋がる可能性が指摘されている。本研究では、神経幹細胞やそれに由来する系列細胞が分化成長段階でエネルギー代謝プロセスを解糖依存型から好気性代謝主体型へと変化させる現象「代謝リプログラミング」に着目し、そのプロセスの不全が神経系の正常発達に与える影響を検索する。更に、代謝プロセスの改善により脳発達を正常化できるか否か検証し、基礎的知見を集め、最終的に神経発達障害の新たな改善策の開発に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
以下に概要を説明する。 ①代表者らが過去にラット視床下部より見出した乳酸応答型転写共役因子LRPGC1(一部論文化, Tanida et al., FASEB J. 2020)の神経系における役割を検索するため,海馬初代培養ニューロンに過剰発現させたものの,一時得られていた突起伸長などの促進効果については残念ながら再現性を得ることが出来なかったため,LRPGC1による生育促進効果は限定的であると考えられた。LRPGC1は突起伸長等の生育促進とは異なる作用を持つことが推測されるので,引き続き検討を継続する。 ②ラット海馬由来初代培養系をグルコース枯渇条件下で培養した場合,ニューロンの生存は培養開始後数日以内までしか維持できなかったが,乳酸あるいはケトン体を添加するとニューロンの個体にもよるものの培養開始から20日以上,生存を維持できることが判明した。これらニューロンの生存維持は解糖系非依存的であることが現在のところ示唆されている。 ③海馬CA1領域などに豊富に存在するオーファン核内受容体,エストロゲン関連受容体ERRαについて,特定のエネルギー条件下で核外移行を引き起こすことができたことから,分子メカニズムを探索中である。現在,核外輸送シグナル(NES)のコンセンサス配列とは異なるアミノ酸クラスターを見出していることから,この部位が新たな核外移行シグナルとして働くのか否かを検討中である。また,株化培養細胞においてERRαの過剰発現による転写活性化がミトコンドリア活性(膜電位)を上昇させることを見出していることから,ERRαの核外移行はミトコンドリア活性を低下させることが推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の異動により,昨年度は研究環境の整備を調えるのに時間を要したものの,現在では環境が整い実験が進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
神経回路形成における乳酸やケトン体,解糖系・ミトコンドリアの役割を明らかにするために,様々なエネルギー条件下におけるニューロン内代謝機構の解析を行う。また,エネルギー代謝を担う核内受容体(ERRs,PPARsなど)やその転写共役因子(PGC1α, LRPGC1,SAFB1など)の神経回路形成における役割や,これら分子のエネルギー状態の変動による発現や活性変化についても解析する。
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