研究課題/領域番号 |
20K08192
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
中西 秀彦 北里大学, 医学部, 教授 (70528207)
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研究分担者 |
北原 秀治 東京女子医科大学, 医学部, 特任准教授 (40510235)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 免疫細胞 / 早産児慢性肺疾患 / 肺胞修復 / 慢性肺疾患 / 微小血管障害 / 血管再生 / 免疫修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
肺胞発達が未熟な超早産児では、出生後に呼吸管理が必須となるが、その結果、慢性肺疾患(CLD)へと進行し、長期にわたる呼吸・循環障害を引き起こす。その特徴は、発達期における肺胞微小血管障害であるが、その発症および傷害再生過程における免疫細胞の役割や、微小血管を構成する血管内皮細胞との相互作用についてはよく知られていない。
本研究では、高濃度酸素暴露後および再生過程の変化から、発達期における肺胞微小血管障害における免疫細胞の関与について、分子生物学的手法、多重免疫染色法、超微形態観察法などを駆使して解析し、最終的に、血管再生と免疫修飾の両面からCLD予防治療法の開発を行うことが目標である。
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研究実績の概要 |
肺胞および肺胞微小血管の発達が未熟な超早産児では、出生後の高濃度酸素投与や人工呼吸管理が要因で、肺胞微小血管障害を引き起こし、慢性肺疾患(chronic lung disease; CLD)へと進行する。本研究の目的は、CLDにおける肺胞微小血管障害とその再生過程における免疫細胞の動向やそれら肺胞構成細胞との相互作用について解析することである。前年度に、フローサイトメトリーを用いてCLD、CLD回復期、回復期再生モデル肺におけるマクロファージの活性化の動向を比較するための予備実験を実施したが、サンプルとして肺組織全体を使用した場合、マクロファージ以外の細胞成分が多すぎるためかマクロファージのみを正確に見分けることが困難であったため、抗体磁気ビーズを使用してマクロファージのみを分離してからM1、M2を見分けることに方針を変更した。そしてその前段階として抗F4/80抗体を用いた免疫組織染色で、正常コントロール(ルームエア21日間)、CLD、CLD回復期、回復期再生モデルの4群の新生仔マウス肺組織を用いて、マクロファージの局在を確認した。それぞれの肺組織に抗原賦活化処理をした後、抗F4/80抗体を4℃オーバーナイトで暴露後に明視野でDAB発色を実施した結果、全ての群における肺胞壁に免疫活性を有する細胞を認めた。またCLD、CLD回復期、回復期再生モデル肺では、正常コントロールと比較して多くの陽性細胞数を認めた。現在、これらマクロファージがM1型かM2型かを鑑別するために、M1の指標となるiNOS、M2の指標となるArginase1を抗原とする抗体を用いて、免疫染色を実施しており、最終的には蛍光染色による二重染色を各群で実施することによって、肺胞修復メカニズムを解明していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4~5年にかけても引き続きSARS-CoV-2による感染流行の影響を受け、研究活動制限、在宅勤務の推奨などのCOVID-19対策の影響や、各種研究会や学会の開催が中止となってしまったことを受け情報交換の場が減少したことも研究の進捗状況が遅れている要因の一つとなっている。また当初予定していた新生仔マウス肺組織を用いたフローサイトメトリーを用いた免疫細胞の動向実験では、マクロファージ以外の細胞成分が多いことにより特異的にM1、M2を認識することが難しいことがわかったことを受けて、計画を変更して、固定肺組織を用いて、抗F4/80抗体、抗iNOS抗体、抗Arginase1抗体を用いた免疫組織染色を実施することで、マクロファージの局在および肺障害からの修復過程の動向を追うこととした。具体的にはM1の指標である抗iNOS抗体、M2の指標である抗Arginase1抗体とマクロファージの指標である抗F4/80抗体の蛍光染色による二重染色を実施し、各群の単位面積あたりのM1とM2それぞれの陽性細胞数比率を調べる予定である。またCD31、αSMAの免疫組織染色結果より、各群の肺胞壁組織における血管内皮細胞、血管平滑筋細胞の占める割合や、肺組織HE染色標本を用いて肺構造の定量化を、オリンパス・カラーカメラ DP27を用いて実施し、現在解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、以下の研究を引き続き進める予定である。 1.正常コントロール(ルームエア21日間)、CLD、CLD回復期、回復期再生モデルの4群の新生仔マウス肺組織を用いて、抗F4/80抗体による免疫組織染色を実施し、肺胞実質単位面積あたりの免疫活性陽性細胞数を算出し、定量化する。 2.M1の指標である抗iNOS抗体、M2の指標である抗Arginase1抗体とマクロファージの指標である抗F4/80抗体の蛍光染色による二重染色をそれぞれ実施し、前述した4群間における肺胞単位面積あたりに存在するマクロファージにおけるM1、M2の比率を算出する。 3.可能であれば、新生仔マウス肺組織からマクロファージのみ分離可能な抗体磁気ビーズを用いて、各群の肺組織からマクロファージを抽出し、フローサイトメトリーを用いて各モデル新生仔マウス肺におけるマクロファージの活性化の動向を比較する。CLDに関連する免疫細胞の経時的動向を追うために、各モデル新生仔マウス肺組織をコラゲナーゼ処理にて単細胞化した調整液を作成後、抗F4/80抗体、M1型(表面抗原:CD80/86、CD11c)とM2型(表面抗原:CD206)の特異抗体を用いて、M1/M2発現比をフローサイトメトリーで計測する。
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