研究課題/領域番号 |
20K08207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
城戸 淳 熊本大学, 病院, 講師 (70721215)
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研究分担者 |
梶原 隆太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (00738221)
沼川 忠広 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (40425690)
小高 陽樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40831243)
松本 志郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (70467992)
曽我 美南 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (80768002)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 神経型ゴーシェ病 / プレシナプス機能 / ポストシナプス機能 / 酸化ストレス / オートファジー / ミトコンドリア機能 / iPS細胞 / ゴーシェ病 / ライソソーム / グルコシルスフィンゴシン |
研究開始時の研究の概要 |
神経型ゴーシェー病患者由来の神経幹細胞に蓄積しているGlcSphを減少させた化合物Aの効果として、2か月間培養した神経型ゴーシェー病患者由来の神経細胞のプレシナプス機能とポストシナプス機能の評価を行う。また、化合物Aがプレシナプス機能とポストシナプス機能のターゲットとして考えられる分子の遺伝子・タンパク発現を変えているかを検討する。すでに確立した生後2週から痙攣を発症し、生後3-4週後に死亡する神経型ゴーシェー病のモデルマウスに対して、この化合物Aの効果を検討する。正常者と神経型ゴーシェー病患者由来の神経細胞の網羅的遺伝子発現解析とシナプトソームの網羅的タンパク発現解析を行う。
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研究実績の概要 |
令和5年度も、ゴーシェ病II型患者由来のiPS細胞から樹立した神経前駆細胞(NPC)を使用しての薬剤スクリーニングで有効であると考えられた化合物Aの効果について評価した。これまでの研究成果により、ゴーシェ病II型の患者由来NPCから分化させた神経細胞では、カルシウムイオンの流入が正常者NPC由来の神経細胞よりも亢進し、化合物Aの添加によりそのカルシウムイオンの流入(ポストシナプス機能)が抑制されることが確認できた。また、ゴーシェ病II型患者NPC由来神経細胞では、シナプス前終末の開口放出機能がFM1-43解析により低下しており、さらに化合物A添加により、神経型ゴーシェ病患者NPC由来神経細胞のプレシナプス機能が改善したことがわかった。また、この化合物A添加においては、酸化ストレス負荷(H2O2添加)時における神経細胞死を神経型ゴーシェ病患者由来神経細胞において改善した。また、ゴーシェ病II型患者iPS細胞2検体とIII型患者iPS細胞1検体の3検体についてこれらの結果が当てはまるかの検討をさらに行い、この結果は間違いないと判断できた。また、II型患者のiPS細胞の片側アレルの病的変異の遺伝子を編集したクローンをコントロールとして獲得し、それらから神経細胞を分化させ、同様に解析することで上記の結果を間違いないと判断できている。従って、化合物AまたはGBAの遺伝子編集は、ゴーシェ病神経細胞におけるプレシナプス機能およびポストシナプス機能を改善する効果がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
神経型ゴーシェ病患者由来のiPS細胞(2検体:兄弟例)とゴーシェー病III型患者由来のiPS細胞から、今年度も新たに神経前駆細胞(NPC)および神経細胞を樹立した。すでに、神経型ゴーシェ病患者由来NPCを使用下薬剤スクリーニングにより有効薬剤(化合物A)を見出だしており、この薬剤添加により神経型ゴーシェ病患者由来NPCのグルコシルスフィンゴシンの含有量を減少させるとともに、神経型ゴーシェ病患者NPC由来の神経細胞においてプレシナプス機能とポストシナプス機能の改善は証明された。また、酸化ストレス負荷(H2O2添加)時における神経細胞死を神経型ゴーシェ病患者NPC由来神経細胞において改善された。さらに、ゴーシェ病患者NPC由来の神経細胞では、もともと健常者NPC由来の神経細胞よりも亢進しているオートファジー機能が、化合物A添加により、さらに亢進していることも確認できた。 健常者由来NPCとゴーシェ病患者由来NPCにおいて、化合物A添加時における遺伝子発現の違いをRNA-Seqを行い、解析した。令和5年度は、チューリッヒ大学こども病院に留学し、研究がストップしていたため、令和6年度も延長申請を行い、これまでの一連の研究成果をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
神経型ゴーシェ病に対する化合物Aの有効性については、おおかた証明できた。メカニズムについては、まだ不十分なところがあり、今後はこれを詰めていく必要がある。また、iPS細胞3検体の安定したデータを得ることにかなり苦労してあり、完全にデータがそろうためには今しばらく時間を要する。また、令和6年度がこの研究を行える最終年度として、一連の研究成果を論文として投稿する予定である。
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