研究課題/領域番号 |
20K08208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 (2021-2023) 大分大学 (2020) |
研究代表者 |
是松 聖悟 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60264347)
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研究分担者 |
三浦 克志 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00327925)
藤澤 隆夫 独立行政法人国立病院機構三重病院(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構三重病院, 名誉院長 (20511140)
宮田 一平 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20600969)
岡田 賢司 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (80224012)
尾内 一信 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80351899)
長谷川 俊史 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90314806)
佐藤 泰憲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90536723)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 小児気管支喘息 / 喘息発作入院 / COVID-19 / サーベイランス / ライノウイルス / RSウイルス / 気管支喘息 / エンテロウイルスD68 / 人工呼吸管理 / 呼吸器感染症 / コロナウイルス感染症2019 |
研究開始時の研究の概要 |
気管支喘息は呼吸器感染症により急性増悪を来す。例えば近年しばしば流行するエンテロウイルスD68は喘息増悪のみならず、重篤な神経合併症も併発する。しかしこれまで、国内外で喘息を急性増悪させる病原体と流行はモニタリングされていなかった。 そこで、喘息増悪入院のサーベイランスと重症例における病原体スクリーニングを計画した。感染症サーベイランスと連動させることで、呼吸器感染症の流行を迅速、正確に把握し、情報を国内に発信し、治療や予防など対策をとることを目的とする。さらにこのシステムは今後生じる未知なる呼吸器感染症のパンデミックの情報収集にもつながる。
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研究実績の概要 |
【緒言】小児の気管支喘息は呼吸器感染症により急性増悪を来す。本研究班では全国定点施設からリアルタイムに小児喘息発作入院をWeb入力し公表している。その調査のコロナ禍に入ってからの状況を報告する。 【方法】全国33定点施設における2010-2019年度の基礎データをもととし、2020-2022年度の特徴を検討した。 【結果】2010-2019年度の急性増悪での入院は中央値3,524名、人工呼吸管理は80.5名であったが、2020、2021、2022年度はそれぞれ入院が820、1,001、945名、人工呼吸管理は20、40、26名と減少していた。入院例の31%に何らかの病原体が検出され、内訳としてはライノウイルス/エンテロウイルス41%、RSウイルス27%、アデノウイルス7%、ヒトメタニューモウイルス6%であった。SARS-CoV-2は2021年度2月より検出されはじめたが、2023年3月までに検査した2,095名中36名のみが陽性であり、この36名全員が人工呼吸管理を受けてはいなかった。2020-2022年度の入院例の重症度は初発671名、間欠型808名、軽症持続型501名、中等症持続型443名、重症持続型153名、最重症持続型23名、詳細不明167名であったが、軽症持続型の32%、中等症持続型の22%、重症持続型の5%は長期管理薬が投与されていなかった。 【結論】SARS-CoV-2が気管支喘息の急性増悪を惹起する結果は得られず、むしろこの期間の入院例は減っていた。その中でもライノウイルル/エンテロウイルス、RSウイルス、アデノウイルスによる増悪入院が大半を占めた。しかし長期管理が必要とされている重症度にもかかわらずなされていない例の入院は軽視できず、保護者や医療者への啓発が必要と考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国33定点施設からリアルタイムで喘息発作入院の情報を入力していただき、重症例の病原体検索を多項目PCRで検査している小児喘息発作入院サーベイランスはWebサイトで国民にも公表している。 COVID-19パンデミック下での小児喘息発作入院の減少と、SARS-CoV-2が喘息発作を誘発させにくいことを証明した。 この知見は世界に既報がなく、共同通信社から全国30の新聞誌で紹介され、さらにClin Transl Allergyに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
小児喘息発作入院サーベイランスでは2010年度からの国内定点のトレンドと発作のトリガーとなった感染症を調査している。コロナ禍の感染予防策にて他の呼吸器感染症の流行がなくなり、喘息で入院する小児は減った。この時期の乳幼児は喘息を発症しにくく、予後も悪くないことが期待された。 しかしCOVID-19が5類感染症に引き下げられて以降、COVID-19のみならず、インフルエンザ、RSウイルスなど多くの感染症が同時流行し、小児においては今がパンデミックである。 そこで、今後喘息が増えるのか減るのか、喘息の予後は改善するのか悪化するのかの調査を開始する。喘息入院数のトレンドを過去と比較しつつ、約1000例を最長4年後まで追跡し、トリガー感染症の種類や既往歴、家族歴、受動喫煙などの環境因子をもとに、小児喘息の発生数、予後と危険因子、予後を予測するバイオマーカーを明らかにする。この調査にてポストコロナの小児喘息の変化を知ることができ、これからの喘息対策につながる。
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