研究課題/領域番号 |
20K08232
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西川 拓朗 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (90535725)
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研究分担者 |
河野 嘉文 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20260680)
児玉 祐一 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (20535695)
宮原 恵弥子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20778427)
岡本 康裕 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30398002)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 心筋障害 / シクロフォスファミド / 造血細胞移植 / アクロレイン / マイクロアレイ解析 / アルデヒド脱水素酵素 / カルシウムイオン調節 / 筋小胞体 / 心毒性 / cyclophosphamide / acrolein / アルデヒド脱水素酵素1 / N-acetyl cysteine / 薬剤性心筋障害 / 造血幹細胞移植 / glutathione |
研究開始時の研究の概要 |
Cyclophosphamide(CY)大量投与時に生じる致死性の心筋障害は臨床上、大きな問題である。申請者らは、in vitroの系を用いて主因はCY代謝物の一つであるacroleinであると報告した。そしてマウスを用いたin vivoの系では、CY代謝酵素でありacrolein産生を抑制する1型アルデヒド脱水素酵素遺伝子をノックダウンしCYを大量投与すると、心筋障害が著明に出現し、解毒代謝産物は減少することを見出した。本研究ではin vivoでもCY心筋障害の主因はacroleinであることを確かめ、発症の個体差はacrolein産生・代謝の個体差であることを明らかにし、そのacroleinを代謝・除去させることで抗腫瘍効果を抑えることなく、心筋障害を防ぐ予防法を確立する。
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研究成果の概要 |
CY心筋障害の機序を解明し、予防手段の探索につなげるため、CY大量投与後のマウス心筋組織の構造解析ならびに網羅的な遺伝子変動解析を行った。C57BL/6Jマウスの腹腔内にCYを大量投与し7日後に解剖し、心筋組織を病理学的に観察した。すると電子顕微鏡検査で筋小胞体、横行小管、ミトコンドリア、細胞核膜などの多くの微細構造変化を認めた。また、CY大量投与3時間後の心筋細胞のマイクロアレイ解析では心筋収縮、カルシウムイオンシグナル経路に関する遺伝子群が殆ど抑制されており、それらは電子顕微鏡検査所見でみられた構造変化部位に合致していた。CY心筋障害の機序として、カルシウムイオン調節の破綻が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
造血細胞移植医療で欠かせない大量シクロフォスファミド(CY)療法であるが、その重大な副作用として致死性の心毒性が挙げられる。しかし、CY心毒性の機序や予防手段などはまだ解明されていない。 今回のマウス実験、研究成果により、大量CY投与によりカルシウムイオンの恒常性破綻が心筋収縮能の低下につながっていることが推測された。これは今までの報告にないCY心筋障害の機序であった。そして、カルシウムイオンの恒常性を保つこともCY心筋障害の予防につながる可能性が見いだされた。
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