研究課題/領域番号 |
20K08265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
松本 歩 自治医科大学, 医学部, 講師 (20458318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | エクソーム解析 / 知的障害 / 発達障害 / てんかん / GAP43 / X染色体不活化 / Menkes病 / DNM1L / 自閉症スペクトラム障害 / 自閉症スペクトラム / Timeless / 自閉症 / 概日リズム異常 / シナプス |
研究開始時の研究の概要 |
概日リズム関連遺伝子の自閉症への影響、神経分化への関与が明らかになりつつある。これらの遺伝子は、独自の機序で神経分化に作用するのか、概日リズムに制御された発現がシナプス形成に作用するのか不明である。概日リズム異常から関連遺伝子を介して神経形成に作用する場合、子どもの生活環境による概日リズム異常の神経発達への影響は大きいと考えられる。 本研究は、(1) 概日リズム関連遺伝子の神経ネットワーク形成への関与を解明するため、既検出変異をiPS細胞に導入しシナプスへの影響を調べる。(2) マウスで概日リズム異常を起こし関連遺伝子の発現変化を確認、それが神経分化やシナプス機能へ及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
エクソーム解析を継続し、検出されたバリアントに対して機能解析を実施した。 ①低身長、発達障害、知的障害の症例で検出されたGAP43のc.436G>A, p.E146Kに対して引き続き機能解析を継続した。本研究は、共同研究として実施し、胎生14.5日のマウスにエレクトロポレーションを行い、皮質形成期におくるGAP43の影響について解析した。皮質の神経細胞の移動の遅れ(コントロールではIV層にたいし、バリアント例ではII-IV層にみられた)、樹状突起の形成障害、軸索の伸長障害、棘突起の密度の乏しさ、がみられた。以上の結果より、GAP43は皮質での神経細胞の移動、形成に障害をもたらし、知的障害、発達障害の原因遺伝子と考えられた。 ②家族性のX染色体不活化の偏りがみられる家系の女児のMenkes病症例において、家族解析を行った。母は(95:5)、児(99:1)、祖母(80:20)と偏りがみられた。全ゲノム解析、RNASeq等追加した。原因になるようなXIST (X-inactivation specific transcript)などのバリアントは見られなかったが、組み換えが起こっていたことが明らかになった。組み換えにより、祖母、母は非罹患で児のみ罹患になった可能性があり、論文投稿中である。 ③てんかん症例においてDNM1L((Dynamin 1-like)のc.1277>G,p.(Phe426Cys)を検出した。DNM1Lは細胞分裂過程で膜のリモデリングを仲介し、ペルオキシソームやミトコンドリア分裂に重要な役割を果たす。既知のバリアントと検出バリアントをベクターに導入し、ミトコンドリア、ペルオキシソームの形態を調べた。また、生検検体でミトコンドリア染色を行った。患者の検体では、ミトコンドリアの結節や枝分かれ等を多数認め、腫大がみられた。ペルオキシソームも腫大がみられ、本バリアントがてんかんの原因であることが同定された。その他のてんかんや、発達障害についても解析継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同研究の進み具合や、外注の全ゲノム解析に時間を要し、全体的に少し遅れている。しかし、もう少し論文投稿できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
GAP43の解析結果について論文作成中であり、完成次第投稿する。DNM1Lについても論文作成する。遺伝性のCACNA1H(calcium channel voltage-dependent T type Alpha 1H subunit)のてんかん症例についてはベクターを作成中で、電位測定の予定である。
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