研究課題
基盤研究(C)
ヒトのエピゲノム修飾の先天的傷害は、さまざまな先天異常疾患および自閉症スペクトラムをもたらす。特にヒストン修飾、クロマチンリモデリング異常は、多臓器にわたる特徴的な症状を呈する。しかし、この疾患群の多様性と共通性の原因は明らかにされていない。一方で、ヒト先天異常疾患との関連が明らかにされていないヒストン修飾因子やクロマチンリモデリング複合体構成因子もある。本研究では、多臓器障害をもつ先天異常疾患症例を対象に、詳細な臨床情報を集積しつつ、網羅的ゲノム解析およびトランスクリプトーム解析を用いて、新規の先天性エピゲノム修飾異常症の同定を試み、その治療戦略の基盤を確立する。
先天性のエピゲノム機構の異常を原因とするヒストン修飾酵素異常症の病態解明を行った。methyltransferase KAT6B変異を原因とするSay-Barber-Biesecker-Young-Simpson症候群(SBBYSS)、SET nuclear proto-oncogeneであるSETのハプロ不全症例、CREBBPの変異を原因とするRubinstein-Taybi症候群例などの各症例を用いた解析から、変異の多様性と表現型の多様性を明らかにした。この結果は、ヒストン修飾異常症の多様性が変異の多様性にとどまらず、ヒストン修飾機構の複雑さを裏付けるものとなった。
先天異常症候群において、ヒストン修飾因子およびその関連因子の異常を原因とする疾患は少なくない。多くは、根本治療は困難で対症療法が中心となる。治療への手がかりとして発症メカニズムの解明は重要である。今回の研究により、表現型(臨床像)の多様性が変異の多様性に由来し、同じ因子であっても変異の種類によって発症機構が大きく異なることを明らかにできた。このことは、社会的には患者家族に疾患理解を促すこととなり、学術的には治療法開発の手がかりとなりえる。
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すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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