研究課題/領域番号 |
20K08284
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
久保田 全哉 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (90542407)
|
研究分担者 |
白上 洋平 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50632816)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 大腸癌 / 肥満 / 糖尿病 / DNAメチル化 / 大腸癌予防 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満や糖尿病に伴う病態が大腸癌のリスクを増大させることが、疫学研究から明らかとなっている。 申請者らの研究グループは、レプチン受容体変異により肥満を呈するdb/dbマウスとAPC遺伝子変異を有するMinマウスの交配により、大腸発癌の新規モデルである“db/db-Min/+マウス”を作製した。 本研究では、メタボリック症候群を基盤病態とする大腸発癌の特性を明らかにすることを目的として、下記を遂行する。 ・肥満およびAPC遺伝子変異に関連する大腸発癌過程における分子異常の同定とDNAメチル化 異常の解析。 ・上記マウスの大腸発癌を抑制し得る候補薬剤の評価。
|
研究実績の概要 |
大腸癌は肥満や糖尿病に伴う病態によってそのリスクが増大することが知られている。申請者らの研究グループでは、肥満・2型糖尿病を呈するdb/dbマウスと、 APCヘテロ変異を有し家族性大腸腺腫症のモデルとして知られるMin/+マウスを交配し、新規の肥満関連大腸発癌モデルである「db/db-Min/+マウス」を作製した。このマウスの解析によって、肥満・糖尿病に伴う分子異常と大腸発癌に関連する遺伝子異常の相互作用を検証する。本年度は、db/db-Min/+マウスとMin/+マウスの腸管(小腸および大腸粘膜)や肝臓、腎臓等を含めた主要臓器におけるDNAメチル化について、その割合(メチル化率)を解析した。その結果、2群間にメチル化率の有意な差はみられなかった。また、糖尿病治療薬メトホルミン投与の有無でdb/db-Min/+マウスを2群に分け、腸管腫瘍の発生とともに大腸粘膜におけるDNAメチル化について検討した。体重変化および解剖時の臓器重量は、2群間で有意な差はみられなかった。腸管における発生腫瘍数は、メトホルミン投与群において有意に少ない結果であり、メトホルミンが肥満および遺伝子変異に関連した消化管発がんに対して抑制的な作用を有することが示唆された。消化管粘膜および腫瘍におけるIGF/IGF-1受容体経路の過剰活性化が既報で示されており、IGF-1受容体タンパク質の発現について免疫組織染色にて解析した。その結果、消化管粘膜あるいは腫瘍の一部においてその発現が確認されたが、本研究で比較した2群間では有意な差は確認されなかった。また、解剖時の血糖値および血清インスリン値にも有意差はみられなかった。上記結果は,本モデルにおけるメトホルミンの腫瘍発生抑制効果が,糖尿病の病態改善を介したものではないことを示唆していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウス臓器におけるDNAメチル化評価を行うことができた。また、腸管腫瘍の発生を抑制しうる薬剤とその機序について解析が進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
腸管粘膜やその他腫瘍臓器におけるDNAメチル化率に有意差はみられなかったが、今後はメチル化の網羅的解析をすすめていく。また、糖尿病治療薬メトホルミンで腫瘍発生に差異がみられたことから、メトホルミン投与の有無でDNAメチル化に違いがあるかどうかについても検討していく。
|