研究課題/領域番号 |
20K08286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小沼 邦重 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90597890)
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研究分担者 |
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
近藤 純平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80624593)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | がん細胞集団の極性転換 / がん細胞集団の転移 / 大腸癌オルガノイド / 血管内皮との接着 / 活性酸素 / micropapillary carcinoma / 薬剤感受性と極性転換 / 極性転換と転移 / がん細胞集団の薬剤感受性 / Micropapillary carcinoma / 大腸がんオルガノイド / オルガノイド / 癌三次元培養法 / 細胞集団細胞極性 / 癌細胞集団の転移能アッセイ |
研究開始時の研究の概要 |
循環血中の癌細胞は、単細胞ではなく細胞集団が転移の成立に重要役割を果たすことが近年報告されている。我々はこれまでに、患者由来の癌3次元培養細胞を用いた循環癌細胞塊モデルを確立し、その性質の一端を報告してきた。特に注目すべき現象として、大腸癌細胞塊は極性を持ち、浮遊状態では原発巣とは逆の「極性転換」した状態にあることを見出した。 本課題ではこの成果を発展させ、1)癌転移の過程において極性転換が果たす役割を明らかにし、2)極性転換を阻害する化合物をスクリーニングにより取得することで極性転換が起こる分子機序を解析し、3)極性転換阻害薬の生体における転移阻害効果を検証する。
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研究成果の概要 |
集団としてのがん細胞の転移メカニズムは未だ不明な点が多い。本研究では、大腸がんの細胞集団は、apical-outの極性状態ではapical面の外側に活性酸素を放出し、血管内皮に作用し、血管外への浸潤を促進することを示した。また、apical-in からapical-outへの極性転換を阻害する候補化合物として、CFTR inhibitor172を見つけ出した。極性転換による転移抑制の観点から、Micropapillary carcinoma(MPC)の治療戦略に焦点を当てたところ、Factor-Xを見出した。Factor-Xを添加して極性転換させた後に抗がん剤で処理すると薬剤感受性が亢進した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大腸がん細胞の多くは原発巣・転移巣ともに細胞集団として存在するにも関わらず、単細胞としての研究が多い。近年では癌の浸潤においては病理学的観察に基づいて細胞が集団として浸潤するモデルや、細胞集団が転移の起源となるモデルが提唱されているが、分化型腺癌の集団特性を維持できる培養法がこれまでにほとんど存在しなかったために、集団としてのがん細胞の振る舞いについては、未だ不明な点が多い。本研究で明らかとしたapical-outの極性状態の持つ転移における役割とメカニズムの解析および極性の観点からの治療・転移の抑制に結び付けるための化合物の同定は、癌の転移研究にとって大きな意義があると考えられる。
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