配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究開始時の研究の概要 |
腸内から検出される口腔細菌による全身疾患への影響に大きな注目が集まっています. また, 濾胞性ヘルパーT (Tfh)細胞の機能低下が腸内細菌叢の異常や免疫系の過剰な活性化を引き起こすことが明らかとなっています. 我々は, 自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis; AIH)患者に口腔細菌叢異常を認め, 腸内細菌叢と関連すること, AIHの病態にTfh細胞が関与することを報告しています. 口腔-腸管連関を介したAIH発症や肝炎悪化が想定されますが, 口腔細菌の直接的な影響は不明です. 本研究の目的は, AIH患者の唾液や口腔細菌がAIHの病態におよぼす影響を明らかにすることです.
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研究実績の概要 |
【目的】口腔・腸内細菌叢異常(dysbiosis)は, 自己免疫性肝炎(AIH)患者の病態と関連していることが注目されている. 今回我々は, AIH患者における口腔細菌の組成変化やその予測機能を評価し, 増加する口腔細菌がAIHの病態と関連するか実験的AIHマウスモデルを用いて検討した【方法】AIH患者18名と健常者(HC)12名の口腔細菌叢について16SリボソームRNA遺伝子を用いたメタゲノム解析を行なった. さらに, PICRUSt2を用いて予測された機能的遺伝子の違いをKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)のオルソログを参考に精査した. 次に, ヒトAIHと関連が報告されている口腔細菌Veillonella disparをAIHマウスモデル(S-100 model)に経口投与し, 肝機能や肝組織の変化を評価した【結果】αおよびβ多様性解析の結果, AIH患者の種の豊富さ(Richness)はHCより高く(Chao 1, p<0.05), 2群間で大きく構成が異なっていた(p<0.05). 細菌の相対変化量を比較した結果, HCと比較してAIH患者ではVeillonella属を含む5種類,Veillonella dispar種が有意に増加していた. さらに, 予測された機能的遺伝子は, HCと比較してエンド-1,4-β-キシラナーゼはAIH患者で発現亢進していたが, アミノ酸N-アセチルトランスフェラーゼ等,7つの遺伝子 は減少していた. S-100 modelでは, Veillonella dispar経口投与群は, 非投与群と比較して, ALTが有意に上昇し, 肝組織で炎症細胞浸潤, Sirius red染色による肝線維化進行を認めた. 現在, 腸管バリアや腸内細菌叢, サイトカインの評価を継続して行なっている.
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