研究課題/領域番号 |
20K08293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
小暮 高之 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70400330)
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研究分担者 |
高橋 賢治 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (00736332)
嘉数 英二 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (20509377)
佐藤 麻理 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (20846018)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 微小環境 / チロシンキナーゼ阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
化学療法に耐性を示す進行肝癌の治療は困難を極める。チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitors, TKI)の臨床における腫瘍縮小効果は乏しく、耐性を生じていると推測される。血管新生阻害作用を有するTKIは腫瘍微小環境の著しい低酸素状態をもたらし、化学療法耐性の主因と推測される。本研究では、肝癌のTKI耐性獲得過程での腫瘍微小環境の変化を、腫瘍細胞・間質細胞の分泌するエキソソームの観点から解析し、介在する機能性RNAを同定する。このRNA分子の阻害剤とTKIとの併用効果をマウス肝癌モデルで明らかにし、RNA創薬としての臨床応用をめざす基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
基礎研究で肝細胞癌に対して腫瘍縮小効果を示すソラフェニブ・レンバチニブなどチロシンキナーゼ阻害薬は、実臨床で予後延長効果を示すが腫瘍縮小効果は乏しく、耐性を生じていると推測される。血管新生阻害作用を有するチロシンキナーゼ阻害薬は腫瘍微小環境に低酸素状態をもたらし、抗癌剤耐性の主因と推測される。本研究では、肝癌のチロシンキナーゼ阻害薬耐性獲得の過程で起こる腫瘍微小環境の変化について、腫瘍細胞および間質細胞の分泌する微小顆粒エキソソームの観点から解析する。
肝細胞癌患者に化学療法の一次治療としてソラフェニブが投与され、奏効せずに二次治療を予定して腫瘍生検を行った患者についての腫瘍組織の低酸素誘導の有無を免疫組織化学および定量PCRを用いてHIF1- alphaの発現を検出したところ、腫瘍内のその発現は背景間と比較して亢進していたが、化学療法ナイーブ患者も同様に発現亢進を認め、その程度についての有意な差はなかった。
低酸素培養がもたらす肝癌細胞のチロシンキナーゼ阻害薬耐性に関連する分子を同定するため、低酸素条件でレンバチニブの暴露下に変動する遺伝子を網羅的に解析し、低酸素下にレンバチニブの細胞障害性に関連して変動する複数のmRNAおよびマイクロRNAを同定した。発現変動を認めた複数のmRNAのうちfibronectinがそのネットワークの中心と推測され、レンバチニブ耐性に関与することが明らかとなった。また、顕著な発現変動を示したhsa-miR-491, およびhas-miR-1297について、mimicを用いて発現量を調節することにより、レンバチニブの細胞障害性が一部回復することが明らかとなった。免疫沈降を用いて翻訳マシナリーに取り込まれたRNAを解析し、これらマイクロRNAの標的遺伝子を複数同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
培養上清中のエキソソームからのRNA抽出およびその解析の結果がドナー細胞の結果と乖離しており、複数回の追試が必要となったため、計画に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
ドナー細胞でのマイクロRNAの解析を進め、同時にエキソソームRNAの網羅的検討を含めた解析を試みる。微小環境に役割を担うマイクロRNAおよびlong non-coding RNAを同定して動物実験につなげる。
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