研究課題/領域番号 |
20K08294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
市川 尊文 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30245378)
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研究分担者 |
川島 麗 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70392389)
河村 由紀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 消化器病態生理研究室長 (10392391)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / NSAIDs / ヒスタミンH2受容体 / ムチン / T-RFLP法 / 抗菌 / ディフェンシン / アクアポリン / 腸内細菌代謝産物 |
研究開始時の研究の概要 |
粘液の細胞保護機能は、水分を含んでこそ発揮されるものであるが、局所環境の変化によってその水分保持力も左右され、気質または病態に影響する。つまり、腸内細菌という他者との共生を成立させた上で、適正な粘液作成を試みなくてはならない。 そこで、粘液主成分であるムチンへの水分子送り込み機構に対して腸内細菌の存在が影響するか否か、その可能性を検討する。特に、腸内細菌そのもの以上に、細菌が腸内で生存する際に産生する代謝物が、宿主に発現する水分子輸送体 アクアポリン への働きかけがあると想定し、研究を展開する。
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研究実績の概要 |
本研究は、ムチンの水分保持力は腸内細菌叢によって左右されると予想し、ムチン水分保持と腸内細菌との関係性を解明することを目的とする。 昨年度は腸内細菌叢解析において、IDM投与でErysipelotrichaceaeが増加し、Clostridialesが減少したが、H2RAを併用によりどちらも回復した。ムチン産生とシンクロが見られるNSAIDsによる消化管炎症では、腸内微生物の割合を変化させ、腸内環境の悪化を招くが、ムチン産生による保護を見込めるH2RAの補充により、粘膜バリアの強化を伴う腸内フローラの正常化を図ることが可能であると示唆された。 このことを受け、本年度は、糞便中の有機酸含有量(酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、乳酸、コハク酸、ギ酸、n-吉草酸、イソ 吉草酸)を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を使用して測定した。酢酸含有量は、C 群で 3.82 mg、IDM 群で 1.82 mg、IDM + H2RA 群で 3.5 mg であった。 プロピオン酸含有量は、C 群で 0.54 mg、IDM 群で 0.42 mg、IDM + H2RA 群で 0.67 mg であった。 n-酪酸含量は、C 群で 1.07 mg、IDM 群で 0.13 mg、IDM + H2RA 群で 0.46 mg であった。 したがって、酢酸、プロピオン酸、および n-酪酸の糞便レベルは、IDM 投与で増加し、同時 H2RA 投与で減少した。 糞便中の乳酸値は、上記の有機酸と同様の傾向を示した。 コハク酸、ギ酸、n-吉草酸、イソ吉草酸は変動が見られなかった。以上、NSAIDによる胃腸炎では腸内環境が変化し、H2RAを併用することで腸内有機酸を介して正常化すると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の当初の計画は、有機酸分析および防御系因子の解析の予定であったが、有機酸分析に用いた糞便の性状が最適ではなく、モデル動物を再作成したことによる時間的遅れが生じた。そのため、実験時間の確保に至らなかった防御系因子の解析を来年度にて実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
糞便中のムチン量、IgA値を測定し、結果いかんによっては、ピックアップされた増強有機酸を腸上皮細胞株あるいは分離性パネート細胞に添加し、培養上清中の抗菌ペプチド量を計測する。
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