研究課題/領域番号 |
20K08299
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
芳賀 早苗 北海道大学, 保健科学研究院, 特任講師 (60706505)
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研究分担者 |
森田 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 総括研究主幹 (60371085)
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | プログラム細胞死 / 肝虚血再灌流傷害 / 細胞内カルシウムイオン / ネクローシス様プログラム細胞死 / 活性酸素 / 細胞内Ca2+ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、虚血および再灌流時に肝細胞内で引き起こされる『活性酸素』, 『細胞内カルシウムイオン』, そして『(ネクローシス様)プログラム細胞死』に着目し、これまでの概念では説明しきれない傷害誘導機序の存在を明らかにし、肝傷害の維持・拡大におおきく関わる新たな肝虚血再灌流傷害機構の解明に挑む研究である。 また本研究課題は、肝臓外科学分野における術後の予後向上へむけた新しい治療法を導く意義を持つものである。
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研究実績の概要 |
本研究は虚血および再灌流時に肝細胞内で引き起こされる『活性酸素』、『細胞内カルシウムイオン』、『(ネクローシス様)プログラム細胞死』に着目し、これまでの概念では説明しきれない肝傷害誘導機序の存在を明らかにすることを目的とする。特に肝傷害の維持・拡大におおきく関わる再灌流後中~後期の持続的な肝傷害に着目し、新たな標的分子・機序を導き出す意義を持つ。本研究では① 酸化ストレスによる制御、②細胞内カルシウムイオン-CaMKⅡによる制御、③両細胞死経路の相互作用と相違、④肝虚血/再灌流モデルにおける各細胞死の解析、以上の段階に分けて研究を進めているが、本年度は前年度から引き続いている項目から検討を進めた。 肝虚血/再灌流マウスモデルを用いた検討:ターゲットを抑制した条件で肝虚血/再灌流モデルの肝傷害の検討を進めた。本検討では分子のターゲットを阻害する手法を用い検討を行っているが、データのばらつきが確認されたため再検討を進めるとともに、他の手法および条件検討を進めた。 細胞内カルシウムイオン-CaMKⅡによる制御:ネクロプトーシスと他のプログラム細胞死とのかかわりについて解析を進めるとともに、これまで得られたの成果とりまとめと報告を行った。また検討の中で、細胞の低酸素/再酸素化時に「酸化ストレス/Ca2+/プログラム細胞死」をつなぐ分子のかかわりが示唆されたため、これに関する情報収集を開始した。 両細胞死経路の相互作用と相違に関する検討:各プログラム細胞死の重要性・機能性を検討するためのツールの開発を進めているが、細胞死誘導因子について、細胞死誘導ターゲットをもちいたツールを作製し、その機能性確認を行った。 本年度は昨年度から引き続いた項目を中心に研究を進めることができた。また、新しいツールの利用や関与が考えられる分子の検討準備に取り掛かることもでき、新しい段階へ検討を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は主に昨年度からの課題として残された項目を継続、優先して取りかかり、研究計画に沿って検討を進めた。 動物実験では昨年度からターゲットを阻害する手法を用い検討を行っているが、個体差が大きいことが原因となり明確な効果が確認できていない状況である。この課題を解決するために、阻害剤利用に変わる新たな手法や条件検討に着手した段階であるが、本年度内の検討ではこれらの方法が十分に機能することの確認まで至らなかった。この状況は計画を立てた当初予期できなかったが、動物を用いた検討が細胞実験ほど安定しない例はこれまでも経験している。また、課題この段階の検討は本研究課題では必須な段階であるため、情報収集を行い新たな方策を立てると共に、引き続き検討を続ける必要性が残された。 Ca2+とプログラム細胞死の機能やその相互関係の解析は、本年度の計画に基づいて検討を進めることができた。酸化ストレス/Ca2+/プログラム細胞死に関連する分子メカニズムの解析は前年度より続け、特にネクロプトーシスと他のプログラム細胞死のかかわりについて解析を進めることができた。これらの検討の中で、キーワードとなる分子・現象をつなげる新しい因子の関与の可能性を見いたした。さらにこれまで取り組んできた各プログラム細胞死の重要性を探るためのプローブの研究にも進捗があり、作製からその機能性確認まで進めている。当初の予定にこれらの検討は含まれていなかったが、今後は研究計画にこれらの解析を追加し、詳細な研究が進められる状況となった。 更に本年度も一部の消耗品、試薬の入手が困難な状況もあり、一部の解析に遅れ、延期などの支障が出た。 本年の研究は以上のような進捗状況であり、あらたな展開となった点がある一方、課題の解決が遅れており、継続して取り組む項目も残された。このような状況を総合して評価し、本年度の研究の進捗としてはやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は肝虚血再灌流における「ネクロプトーシス」、「パータナトス」などのネクローシス様プログラム細胞死に焦点を当て、それぞれが関わる誘導機序、分子メカニズムを解析し、プログラム細胞死の新しい機序を明らかにすることを目指している。この研究課題を解明するために、次年度も引き続き① 酸化ストレスによる制御、②細胞内カルシウムイオン-CaMKⅡによる制御、③両細胞死経路の相互作用と相違、そして④肝虚血/再灌流モデルにおける各細胞死の解析について、それぞれの低酸素/再酸素化誘導プログラム細胞死焦点を当てて、段階的に進める計画である。 今後の研究はまず、前年度からの課題となっている肝虚血/再灌流モデルマウスでの肝傷害の解析を優先して解析を進める。本項目ではターゲット阻害の方法に課題が残されているため、文献等をとおして情報収集をすすめ、異なった方法を探索していく。効率よく研究を進めるため、前者と同時に動物実験での条件検討も同時に進める予定とした。 細胞内レベルでの細胞内レベルでのカルシウムイオン―CaMKⅡを介した細胞死の解析では、ここまでの研究で作製・機能確認を行ったいくつかの細胞死評価プローブの応用について検討を行う。阻害剤やsiRNA、遺伝子導入などの解析方法にこの新しいツールを加えた解析を開始するための事前調査を進め、具体的な解析を進めたい。また、同段階では新しい因子の追加検討が追加されている。この因子については、事前調査を進め、情報収集を行ったうえで、細胞実験によってそのかかわりを詳しく解析する方策をとる。 このような計画のもと、克服すべき課題、そして新しいツールと因子の検討を各段階に取り組み、各々のプログラム細胞死の重要性・機能性、相互作用を深く理解し、新しい細胞死メカニズムの解明へ研究を進める計画である。
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