研究課題/領域番号 |
20K08334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊原 栄吉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80612390)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 食道アカラシア / 高解像度食道内圧検査 / アカラシアサブタイプ |
研究開始時の研究の概要 |
食道アカラシアの病態は未だ解明されていない。最近、高解像度食道内圧検査の登場によって食道アカラシアの診断が飛躍的に発展し、3つのサブタイプに分類された。本研究では、食道運動を制御する消化管神経細胞-カハール介在細胞 (interstitial cells of Cajal;ICC)-平滑筋細胞のネットワークと各細胞機能に着目し、ブタ食道及びヒト臨床生検サンプルを用いた薬理学的解析、平滑筋収縮タンパク解析、DNAマイクロアレイ及び電顕組織学的解析に加えて、食道細菌叢解析及び数理モデル解析といった多角的な視点から食道アカラシア各サブタイプ別の病態解明に挑む。
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研究成果の概要 |
本研究では、食道運動の生理機序と食道アカラシアの病態について以下を明らかとした。①神経型ニコチン性アセチルコリン受容体刺激が引き起こす下部食道括約筋(LES)弛緩反応は、神経伝達物質ATPによるカハールの介在細胞の過分極反応が関与する。②食道アカラシア患者では、ミオシン軽鎖リン酸化レベルが有意に低下する。③食道アカラシア患者の食道粘膜菌叢は、嫌気性菌を中心とした20種類以上の菌叢変化を認め、αdiversityで表される多様性が増加する。④高解像度食道内圧検査結果に基づいて食道運動を模倣する数理モデルの作成が可能であった。モデルを用いて食道アカラシアの内圧所見を再現することが可能である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
食道運動は、食道期の嚥下機能を担う。食道運動が破綻した食道運動機能障害は、つらい症状・嚥下困難から「快食」が妨げられ、生活の質を低下させるのみならず、重症化すれば「誤嚥性肺炎」をきたし生命予後に影響を及ぼすため重要な疾患である。しかしながら、これまで方法論の限界によって、食道期の嚥下機能に関する研究は発展途上であった。本研究の社会的意義は、食道運動の生理機序と破綻状態である食道アカラシアの病態の一端を解明に成功したことで、高齢社会において「快食」と「誤嚥予防」に観点から健康長寿に貢献する今後の研究開発の突破口をつくったことである。
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