研究課題
基盤研究(C)
糖尿病で発現・活性が増加する糖転移酵素であるN-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)転移酵素(OGT)とα1,6-フコース転移酵素(FUT8) の高発現マウス(Ogt-Tg, Fut8-Tg)に対して、炎症性発癌物質DMH/DSSの暴露(大腸癌)、膵臓癌細胞の移植といった様々な方法により形成された担癌の状態、程度を野生型マウスと比較することにより、癌周囲環境の糖鎖の変化が癌の発症、増殖、浸潤、転移に与える影響を検討し、その分子メカニズムを解明する。そして、糖尿病担癌患者の糖鎖改変による治療の可能性を探る。
糖尿病で亢進する糖鎖修飾であるO-GlcNAc修飾やコアフコース修飾が癌の増殖や転移へ与える影響について検討した。癌周囲環境のO-GlcNAc修飾の亢進が癌の転移を促進し、コアフコース修飾の亢進が癌の増殖を促進することが明らかになった。糖尿病が癌の予後増悪の一因となっているが、これらの糖鎖修飾の亢進が関与していることが予想されるため、糖尿病患者に合併した癌治療のターゲットとなる可能性が示唆された。
糖鎖修飾であるO-GlcNAc修飾やコアフコース修飾は糖尿病で亢進することが知られている。糖尿病は、独立した癌のリスクや予後増悪因子であるが、O-GlcNAc修飾やコアフコース修飾の亢進がそのメカニズムの一端を担っていると考えられる。糖尿病担癌患者の治療戦略の一つとして、O-GlcNAc修飾やコアフコース修飾を標的とした糖鎖改変治療が有望である可能性が示唆された。
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Oncology Letter
巻: 20 ページ: 1171-1178
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